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The Necks at 酒游館

12月17日、滋賀県近江八幡にある酒游館で行われたThe Necksのライブに行ってきました。The Necksはオーストラリアのピアノトリオ編成のバンドで、今年で結成30周年になるそうですが、来日は初めてということで、こんな機会は二度とないかもと思い急ごしらえで都合をつけ会場に駆けつけました。

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ライブはジャズなどでよくある、間に休憩を挟んでの2セット形式。1時間に及ぶ第一部とやや短め(おそらく40~50分程度)の第二部。

 

 第一部は大雑把にいってふたつの山のある演奏で、ピアノの独奏から始まりドラム、ベースが控えめに加わって徐々に音の密度、音量などを増しながらピークを迎え、そこから一度演奏のテンションを絞ってからもう一度ピークへ持っていくような構成。演奏中に時計など見ていないので確認はできませんが、一度目のピークの時点で体感では40分くらい経ってたと思ってて、そこから音量など落とし始めたところで締めに向かうのかなと思ってたので、そこからしばらくしてもう一度ピークを作ろうとしてることに気付いた時は結構驚きでした。

第一部の演奏で特に印象に残ったのはトニー・バックのハイハットとクリス・エイブラムスのピアノ。

トニー・バックはハイハットをオープンの状態にして二枚のシンバルの間にブラシを挿し込むような状態で小刻みに上下に動かし、演奏が進むにつれてブラシの柄のほうに持ち替えてみたりして音色を変えながらも均質なパルスのような音を延々と出し続けていました。The Necksに限らず彼の参加する音源ではよく耳にする音で、それらを聴くだけでも彼のシンバル類の扱い、音色の美しさは耳を惹くものがあると思いますが、間近で聴くそれも間違いない美しさでした。

クリス・エイブラムスのピアノはトレモロ奏法のような音の出し方を主に用いて、ひとつの音階なりモード(?)の中で波のようにクレッシェンド、デクレッシェンドを繰り返しながら音の密度や音量を上げていくような演奏を延々やってる感じなのですが、一度目のピークに達する前辺りからは続けざまな打鍵によって音のADSRでいうR(リリース)の部分が重なりまくってドローンみたいになってうねってるのがすごく耳に入ってきて、そこにトニー・バックのマレットによるシンバルの音が重なって干渉してくる瞬間とか最高でした。

 トニー・バックが延々小刻みに鳴らし続けてるハイハットにしてもピアノと同じように音のリリースの部分が重なってドローンを形成してるのが聴きとれましたし、バンド全体としても短く切れるような音はあまり多く用いずに音のリリースの部分がそこかしこで重なって3人とは思えないほど厚みのある音になっていて、結果として出てくる各々の音が有機的に結びついたような響きの持つ説得力というか充足感というか…とにかくすごいものがありました。

演奏の中で個々が出している音、つまりミクロな部分に焦点を合わせれば、例えばトニー・バックが小刻みに出してるハイハットの音なんかはそれに合わせて踊ることもできなくはないものだと思うんですが(そういう風に聴いてる人もいました)、最終的に鳴っている響きの総体を見るような視点からそれを捉えると、演奏の中での役割としてはそういうリズムの面っていうよりそれによって持続音を発生させて空間を埋めるためにやってるんじゃないかなという印象が強かったです。そのハイハットの音をトップとして周波数帯のいろいろな階層を違う音色で色付けして、それらが部分的に混ざりあってグラデーションが生まれたりっていうイメージなんですが、混ざってない部分、響きがストレートに耳に入ってくる塩梅はしっかりと保たれている印象で、カオティックにならないバランス感覚はピアノトリオという編成や、徐々に自分の音の届く範囲を拡大していくような演奏全体がクレッシェンドしていく構成、そして結成30年という経験などから生まれたものなんだろうなと思わされましたし、The Necksってバンドが指向してるものの核がこういう強度とバランスを持った響きの総体を音の重なりやうねりも取り込みながら築いていく意識にあるんだろうなと。

 ハイハットやピアノなどはかなり小刻みに音を出しているにも関わらず演奏全体には忙しなさが全くなく、もの凄く懐が深くゆったりとした律動が感じられるのも本当にいつまでも聴いていられる感じでとにかく心地よかったですね。トニー・バックは演奏中に身体を揺らす場面も結構あったんですが、ハイハットの音8つを一拍としてとってるようなすごくゆったりしたものでしたし、ロイド・スワントンも演奏が進むと非常に心地よさそうな表情で演奏していて、演者自身も音を聴いて楽しんでいるのが伝わってきました。

 

 第二部は第一部との差別化の意識からか少し捻った感じもする演奏で、ピアノが冒頭からしばらくはホンキートンクっていったら言い過ぎですが、そういう類の茶目っ気が少しだけよぎるような演奏をしていて、またトニー・バックは第二部ではハイハットではなく通常のシンバルのほうを終始スティックで鳴らし続けていたんですが、そのリズムも少しだけシャッフルしているように聴こえました。第一部とは違いゆっくりとひとつのピークを形づくって終える演奏。

 第二部ではトニー・バックは木の棒の先に貝殻のような形をした小物が多く取り付けられた楽器(?)を多用していて、序盤ではそれを振って物音を出し、中盤からはそれをタムに当ててスティック代わりのように使用していました。こちらもトニー・バックが参加している音源ではよく耳にする音なんですが、こちらはハイハットと違い何をどうやってこの音を出しているのかしっかりイメージできていなかったので、こういう風に出してたんだっていう驚きがありました。同じような楽器(なのかわからないけど)はたしかカフカ鼾のライブだったかそれ以外のライブだったかで山本達久も使ってたような記憶があります。カフカ鼾自体The Necksからの影響は結構露骨に感じられますし、影響とかかなりあるんだろうなと思いました。

 他にもトニー・バックはウィンドチャイムの金属棒を何本か紐でまとめたようなものを座っている状態の太腿の上に乗せて揺らすことで不規則に音を出してみたりいろいろやってて本当に多彩で面白かったです(演奏後はこんな感じ。写っているものすべてを使っていたわけではなかったと思いますが)。ここはThe Necks観るにあたって一番注目してた部分でもあったのでなんか途中で嬉しくなってしまいました。

 

 第一部にも第二部にも共通してることですが、とにかく演奏がピークを迎えた時の音がどこまでも広がっていくような感覚はちょっと今までに体感したことのないものでした。なんか陳腐な表現になってしまうけど無尽蔵に拡張していく宇宙空間を想起するような。これには多分もともと酒蔵だったという会場の響きのよさによる部分も大きいんだろうなと思います。天上高めだからか音が上下に伸びていくような感覚があって場面によっては教会で鳴り響くパイプオルガンのような荘厳さも感じました(教会でパイプオルガン聴いたことないですが)。演奏がピークを迎えた部分においても単純な音量って意味ではそれほどのものでもなく、これより音が大きいライブならそれこそいくらでもあるんでしょうが、これほど自然な広がりを感じれる音、ライブってそうそうないんじゃないかと。

自分は数はそれほどではないですが電子音楽PAなしの生楽器のライブも行く人間で、そこに単純な優劣はないと思ってますし、また音楽はライブで聴いてこそみたいにも思わないんですけど、こんなん聴かされるとちょっと揺らいでしまいますね…。とりあえずまた日本来てくれるんなら絶対行きます。これだけ長々と書いてしまうくらいには心底感動しましたし、ダントツで2016年のベストライブ。もしかしたら生涯一かもしれません。本当にありがとうThe Necks!!!

 

 

今月のお気に入り(2016年11月)

Raphael Malfliet『Noumenon』

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・Moe and ghosts × 空間現代『RAP PHENOMENON』

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・Hanno Leichtmann, Valerio Tricoli『The Future Of Discipline』

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・Yann Novak『Ornamentation』

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・Oren Ambarchi『Hubris』

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・Kris Davis『Duopoly』

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・Hiroshi Ishida『LatLng​(​35​.​205639, 139​.​041795)』

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・Dante Boon『for clarinet (and piano)』

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・Andrew Cyrille Quartet『The Declaration of Musical Independence』

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・Jakob Bro『Streams』

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・Steve Roden『Striations』

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・Michael Tanner『Suite for Psaltery and Dulcimer

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・L A N D『Night Within』

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・Radian『On Dark Silent Off』

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・John Butcher, Thomas Lehman, Matthew Shipp『Tangle』

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・Nakama『Grand Line』

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・Tanaka/Lindvall/Wallumrød『3 pianos』

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・TAPE LOOP ORCHESTRA『The Invisibles』

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・ともこ一角『ロムエ』

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Radwimps君の名は。

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今月のお気に入り(2016年10月)

・Thomas Brinkmann『A Certain Degree of Stasis』

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宇多田ヒカル『Fantôme』

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・Melina Moguilevsky『Mudar』

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・Thomas Tilly『Test/Tone Documents』

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・Meshuggah『The Violent Sleep Of Reason』

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・Masayoshi Fujita & Jan Jelinek『Schaum』

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・Johnathan Finlayson & Sicilian Defense『Moving Still』

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・Peter Evans『Lifeblood』

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・STUFF.『STUFF.』

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・Francisco Meirino『An Investigation On Electricity, Magnetic Fields & (para)Normal Electronic Interferences』

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・Francisco Meirino『Dissension』

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・Keiji Haino / Jim O'Rourke / Oren Ambarchi『I Wonder If You Noticed "I'm Sorry" Is Such A Lovely Sound It Keeps Things From Getting Worse』

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yanokami『遠くは近い -reprise- 』

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AOR『TWO』

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カフカ鼾『nemutte』

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Oval『Popp』

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・Marvin Tate & Joseph Clayton Mills『The Process』

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A$AP Rocky『At.Long.Last.A$AP』

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・Nuel『Hyperboreal』

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・Mary Halvorson Octet『Away With You』

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『Sans Repères Session』at 日時計の丘

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10月10日に福岡市南区日時計の丘にて行われたライブイベント『Sans Repères Session』に行ってきました。出演はKenta Inamasu、Sho NAKAO、そしてメインにFrance Jobin。主催のpopmuzikは2012年にもフランス・ジョバンを招いたライブイベントを開いていて、後にレコードレーベルとして彼女の作品(イベントのタイトルにもなっている『Sans Repères』)を出してもいるので、その流れの中で今回のライブおよびツアーが企画されたのかなと。個人的にフランス・ジョバンはすごく思い入れのあるサウンドアーティストでもあるので最初このツアーの報せを聞いた時からすごく楽しみにしていました。出演者それぞれの演奏にしてもそうですし、それらをトータルしたひとつのイベントとしても印象深いものだったので簡単に感想をまとめておきたいと思います。では出演順に。

 

 

1. Kenta Inamasu

ピアノと詞のないスキャット的な歌唱によるパフォーマンス。全部で5曲ほどの演奏だったと思います。最後の曲のみSho NAKAOが演奏に加わり背景音的な役割のサウンドスケープを担当していました。即興演奏といった面も強いのでしょうが今回の演奏は聴いているぶんにはそこをあまり意識させないというか、1曲1曲で歌唱による旋律とピアノ演奏のしっかりとした結びつきを感じられる瞬間が多く、作曲されている面が強く印象に残りました。Inamasuさんの演奏は以前にもソロで一度、複数人の演奏で一度観ていますが、どちらも今回よりは抽象的な印象だったので少し新しい面を見れたような気分でした。この演奏では会場である日時計の丘に置かれているブリュートナー社製のグランドピアノが使われたのですが、一般的によく目にするグランドピアノより一回り小ぶりなボディから響く柔らかい音色はこの会場の大きさや雰囲気にとてもよく馴染んでいて、それだけで空間が充足するような感覚がありました。

 

2. Sho NAKAO

ラップトップ、ミキサー、複数個のエフェクターを用いたパフォーマンス。いつもは繊細に編まれた音楽的な音色のドローンと加工された環境音のレイヤーによるアンビエントを聴かせてくれるNAKAOさんですが、今回はそういった面もありつついつもよりは環境音がむき出しで配置され前景化したような印象で、中盤では音楽的な音色の存在がなくなりほぼ環境音のレイヤーのみで構成されたパートが現れたり、またパートの移り変わりや特定の音色のフェードイン/アウトの仕方も時に唐突だったりで“いつもと違う”面を多く見せてくれた演奏でした。終演後ご本人に確認したところによると、最初から最後までしっかり組まれたライブセットもあったようなのですが、それは二日前の東京公演で既に披露していて同じことをやるのはあまり気分が乗らなかったらしく、今回は東京滞在時に録ったフィールドレコーディングのサンプルなどを適当にタイムライン上に配置した状態で演奏を始め、再生されるサンプルにその都度場当たり的に対応するかたちで演奏したとのこと。演奏の終盤では讃美歌を思わせるようなトーンのドローンを中心とした安らかで美しいアンビエントのパートが現れたのですが、その部分だけあらかじめ組まれていたライブセットから抜粋されたもので、ご本人曰く「一応キリスト教徒なのでそれらしいものひとつくらいあったほうがいいかと思って作った」ものらしいです。

また前述のInamasuさんとNAKAOさんの演奏はまだ日の出ている時間帯に行われたため、会場の天窓から淡く日が差し込み演奏者のバックの白い壁にカーテンの影が映し出され控えめに揺れ続けていて(こんな感じとかこんな感じ)、それをぼーっと眺めながら聴くのがとてもいい感じでした。一緒にライブ行った方も同じ楽しみ方をされていたみたいで嬉しかった。

 

3. France Jobin

ラップトップのみによるパフォーマンス。演奏は今回のイベントのタイトルにもなっているアルバム『Sans Repères』のA面の冒頭のパートから始まり、今回のライブのために組まれたものと思しきパートへ移り、その後『Sans Repères』のB面の終盤のパートへ繋がれて終わるという構成でした。イベントのタイトルにもなってるくらいなのでこの構成はもちろんあらかじめ決められていたものだと思います。『Sans Repères』のA面の冒頭のパートというのはすごく開放的で目の前が開けていくようなサウンドなので、演奏が始まった時間帯に陽が傾き始めていた会場の雰囲気との折り合いがちょっと惜しいかなと思っていたのですが、驚いたのはその後、陽が落ちた会場の雰囲気に呼応するかのような濁ったトーンのドローンや曇り空を連想させるような加工されたサンプルの重なり合いが提示されて、あまり彼女のイメージになかったような低域よりのサウンドスケープを聴かせてくれたところですね。偶然の産物だとは思いますが会場の空気の移り変わりに音が同期していくような感覚があり、この場に居てよかったなーとしみじみ思ったり。他にもたしか前述の低域よりのサウンドスケープに移る前辺りだったと思いますが、静かなドローンが流れるだけのパートで外から犬の鳴き声や車の走行音が聴こえてきたり(犬の鳴き声に関してはジョバンさんも流石に気になったのか表情を崩していました)と、彼女自身が意図したものではないのかもしれませんが演奏が自身の出す音だけで完結しないものになっていることを強く印象づけられるような時間でした。

 

 

イベント全体を通して、演奏は聴衆が発する種々のノイズ(例えば足を組み替える際に服が擦れる音など)も耳に入ってくるような小さめの音量で行われていて、演奏外の音の干渉が良い方向に作用する場面と悪い方向に作用する場面がありました。この点に関しては、会場の大きさや立地(周辺が住宅地)などの条件からこうなっているのか、それとも意図的に抑えているのかはわかりませんが(個人的にはもう少し上げてほしいというのが正直なところ)、日が傾いていく時間に催されていることやそれと演奏との兼ね合いや同期、会場に据え置かれているピアノの響きなどと合わせて今回のイベント全体がその時限りの場(=空間)と時間の存在を強く意識させるものだったなと思います。演奏者の音“だけ”を聴かせるイベントではなかったというか、深読みのし過ぎかもしれませんが、出演者、主催者の方々がアンビエントの在り方というものをどう捉えているのかがなんとなく読み取れるような気もしてくる、それに基づいて様々なことが決定されているような印象を受けるイベントでした。

  

今月のお気に入り(2016年9月)

今月よく聴いたものです。画像クリックで試聴ページへ飛びます。

 

 

・Claire M Singer『Solas』

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ポスト・クラシカル(?)。ロンドンのユニオン・チャペルを拠点に活動している作曲家のデビュー作。ハーモニーや定型的な音程の推移もあるのできちんと作曲された曲って感じもするけど、それらは必要最小限に抑えられていて全編持続音を中心に描かれてる。曲によってはほぼドローンっていってしまえるようなものも。でもそういうドローン的な音楽(=和音の変化などいわゆる音楽の“進行”感を発生させる要素がほぼない)にも関わらず、音楽としての推進力がすごくて、停滞感みたいなものをあまり感じさせない。それがなぜなのかは今のところよくわからないんだけど、ダイナミクスとそれに伴う音色の印象の微妙な変化とかがポイントなのかなあ。音色の重ね方とかも同系統の音を重ねていく感じでどちらかというと停滞感が増しそうなものだけど…。

 

 

・Acronym『Entagled In Vines』

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ディープなテクノ。トーンは暗めかなと思うけど結構わかりやすく踊れる感じも。パンチのあるシーケンスが一本走ってる曲が多くて、そういう曲を印象づける核みたいなものの位置付けがうまいなって印象。ミックスとかに入っててもすぐこの人の曲ってわかりそうだし、映えそう。

 

 

・Ben Gwilliam『Vestibül』

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実験音楽、機械録音。複数のテープマシンから発せられた音。

 

 

・Stephen Cornford & Ben Gwilliam『On Taking Things Apart』

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実験音楽、機械録音。前掲の作品とアプローチは同じといってよさそうだけどこちらはより出音に対する人の干渉が聴きとれる。

 

 

・Marc Baron『Un salon au fond d' un lac』

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カセットテープの音源を用いたコラージュ/コンクレート。派手な展開があったりして面白い。最後の曲のくすんだピアノの音はわかってても染みる。ズルい。小さい音でなんとなく流しておくのが好きだったりする。心地よすぎない。

 

 

Pan Sonic『Atomin Paluu』

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ノイズ・テクノな曲はもちろんだけどアンビエントな時間も多くてかなり好き。

 

 

・Elina Duni Quartet『Matanë Malit』

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アルバニアコソボなどのトラッド曲を演奏したアルバム。3曲目「Kur Të Kujtosh」に完全にやられてしまってその2日後にはライブに行きその会場で買った。「Ka një mot」の後半とか、ふとしたところでのさりげない和音ひとつとかで異様に深みのある響きを聴かせてくれるColin Vallonのピアノをはじめとするバックの演奏もいいし、抑揚はあるけど根底に静けさを感じさせてくれるようなElina Duniの歌声も素晴らしい。

 

 

・G.H.『Housebound Demigod』

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インダストリアル/テクノ。音の歪みの具合とか低音出てる感じとかすごくかっこいい。Modern Loveからってところでまあ『Passed Me By / We Stay Together』の頃のAndy Stottを連想してしまったりも。ライブで聴いたら凄そうだなー。

 

 

・Gary Thomas『Seventh Quadrant』

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すげースリリングなジャズ。わかりやすくテクニカルでめっちゃ演奏上手い(小並感)。しかしなんで今このタイミングでこれを聴くんだって感じだ(笑) 形式としてのジャズらしさをガッチリ保っていながらこれだけガッとくる作品に出会ったのちょっと久しぶりな気もする。

 

 

 

・Ken Ikeda『Primal Scene』

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サウンドアート/アンビエント。物音というか環境音というか、一般的な楽器以外のものから発せられた音が多く用いられているんだけど、それらを過度に加工したり例えばリズム組むようなかたちで音楽的な形式に当てはめることはせずに、異物感というか物音としての手触りみたいなものを残しながら、しかし音楽的に響かせることでその他のアンビエントな音使いの中に絶妙な距離感で存在させてる。凄い。

 

 

・The Claudia Quintet『Super Petite』

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コンテンポラリージャズ。なんか妙にクセになるコンポジション

 

 

・Qeel『Internal Reality』

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ディープなテクノ。よく知らない人だけど多分これがデビュー作っぽい。冷たくそっけないんだけどなぜかスッと身体に浸透してくるような音。ノイジーさや重々しいゴシックな雰囲気もあるけど押しつけがましくない塩梅でいい。これ出してるAnnulledってレーベルすごく好きだな。これからも期待できそう。

 

 

・Desolate Horizons『I Thought I'd Never Find You』

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アンビエントシューゲイザー。去年のアルバムもかなり良かったけど、今作は収録曲数減らして1曲でじっくり聴かせてくれる感じ。トータルタイム的にもいい感じの短さでよく聴いた。ジャケもいいね。ちなみにNYP

 

 

・Socrates Martinis『Under the arches of her voice』

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ミュージック・コンクレート。よく知らないけどギリシャの作家かな。質感や空間の違う持続音の切り貼りが中心で、それほど細かいことはやってなさそうだけどなんか聴かせる力がある。特に音の広がりや距離感(まあ≒空間ってことですね)の違う音が同時に鳴ってるときが面白い。

 

 

・The Necks『Box』

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よく聴いたっていってもまだそれぞれ2周づつくらいしか聴けてないけど…とりあえず入れておこう……。

 

 

今月のお気に入り(2016年8月)

 

・DJ Nobu『Nuit Noire』

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坂本慎太郎『できれば愛を』

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・BADBADNOTGOOD『IV』

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・KING『We Are KING』

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・tricot『KABUKU EP』

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・Lourenço Rebetez『O Corpo de Dentro』

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・Jeri-Jeri『Ndagga Versions』

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・Deadbeat『Radio Rothko

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・Shin Sasakubo & Akiyuki Okayasu『invisible flickers』

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・Vanessa Rosetto『Adult Contemporary』

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・Cube『My Cube』

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DJ Krush『Butterfly Effect』

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・Steve Lehman『Sélébéyone』

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・ILLEGAL CROWNS『ILLEGAL CROWNS』

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・Oar『everything goes flat

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今月のお気に入り(2016年7月)

・Francisco Meirino『surrender, render, end』

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・Valerio Tricoli『Vixit』

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・Michael Foster _ Ben Bennett『" "』

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・Meshuggah『Nothing』

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・Dan Weiss『Fourteen』

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・Lucas Bolaño『Impermanencia』

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・Giovanni Di Domenico, Arve Henriksen, 山本達久『Clinemen』

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・Manuel Mota, Giovanni Di Domenico, 山本達久『SoundShots #1』

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・Ranta Lewis Plank『Mu』

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・Ntogn『Threads』

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・Carers『...it's eternity, Ester"/ Easter』

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・John Stevens / Evan Parker / Kenny Wheel / Dennis Bailey / Dave Holland『Karyobin』

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・Haiku String Trio『beat keller. tom johnson. joseph kudirka string trios』

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・Robert Piotrowicz『Stara Szkoła Ze Złota / Old School Made Of Gold』

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・MMOTHS『Luneworks』

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・Esbjörn Svensson Trio『Seven Days Of Falling』

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・挾間美帆『Time River』

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・Jesse Osborne-Lanthier & Grischa Lichtenberger『CSLM』

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・Clams Casino『32 Levels』

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・deafheaven『New Bermuda』

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