LL

今月のお気に入り(2017年3月)

・Tigran Hamasyan『Luys i Luso

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・Tigran Hamasyan, Arve Henriksen, Eivind Aarset & Jan Bang『Atmosphères』

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・Theo Bleckmann『Elegy』

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・Mette Henriette『Mette Henriette』

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・Joe Maneri / Mat Maneri『Blessed』

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・Tyshawn Sorey『The Inner Spectrum of Variables』

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・Lee Gamble『Chain Kinematics (uiqinv.0001)』

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・ハレルヤズ『肉を喰らひて誓ひをたてよ』

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THE NOVEMBERS『Rhapsody in beauty』

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J Dilla『Welcome to Detroit』

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・Harley Gaber『Indra's Net』

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・Eomac『Monad XVII - EP』

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・Phil Julian『Relay』

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・Nuno Canavarro『Plux Quba』

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・András Schiff『Schubert: The Last Piano Sonatas』

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・毛玉『新しい生活』

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Kevin Drumm『Elapsed Time』

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昨年末に《Sonoris》からリリースされたケヴィン・ドラムの2012~2016年という比較的近年のドローンワークスからセレクトされた6枚組ボックス。初出の音源として紹介されているのも見かけましたがきちんと調べてみるとすべてケヴィン・ドラム自身のbandcampで既に公開/販売されている音源だったので、それらのリンクをディスク毎にまとめておきます。簡単な内容の紹介も書きましたので、トーンの明るいものだけ聴きたいとか、ある程度展開があったり尺が短いものを手始めに聴いてみたいといった方は少しでも参考にしていただければと思います。

購入は《Sonoris》に直接注文するか、国内のショップで取り扱いのある《Meditations》、《Art into Life》、《オメガポイント》、《Ftarri》辺りで。これをアップした時点ではメディテーションズとフタリに在庫があるようです。

 

 

【Disc 1】

kevindrumm.bandcamp.com

オルガン、オーディオジェネレーター、ギター、声、テープディレイを用いた40分超えのドローン作品。ひとつの音色が延々持続するタイプのそれではなくいくつかのパートから成り立っており明確に音が途切れる場面も存在する。音色は澱んだトーンで統一されていて時折メタリックなものが入ってくる。全体的に変なリバーブを多用したような音作りで音の芯というかクッキリとした定位が掴みにくい。音の定位の動きが効果的なパートから人の声(コーラス?)を引き延ばしたような奇妙な音色とホラーチックな和声感のパートへ推移する15~30分辺りが面白い。

 

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サイン波によって作られたオルガンのような音色を中心に描かれる20分間のドローン。和声的にもトーンは明るめ。ちょっと中域が膨れすぎな気もするけどかなりいい。

 

 

 

【Disc 2】

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オルガンのような音色を軸とした30分のドローン。サイン波、ノコギリ波、パルス波が用いられている。音の抜き差しや音色の推移はそれなりにあるんだけど10分辺りまでは和声が変化しないのでどっしりとした印象。そこからは5分おきくらいの間隔で軸となる音色/音程が差し替えられていく。

 

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リンク先のアルバムから4~7曲目を収録。どれも10分程度。

「Gradual Extinction」は曇り空のようなスタティックなドローン。鳴りっぱなしの音がひとつあってそれより下の帯域で音の抜き差しなどの表現が行われている。ラスト2分で急に陽が射すような明るいパートへ転換。

「Return」は壁を一枚隔てたところで鳴っているような存在に距離感を感じる鈍い色合いのドローン。中盤からは何かの音を無理矢理潰したような輪郭の崩れた音色が近い距離感で鳴る。自律神経に悪そう。

「Grace」は前曲の崩れた音色がそのまま鳴るかたちで推移する。全然「Grace」ではない。

「Dimming the Gas Lights」は左右へ行き交う軽く歪んだ音色や物音などが入るややノイズドローン寄りの内容。徐々に音の厚みが増していき濁流のようになる。かと思いきやそこまで極端な盛り上がりはなく割合あっさりと落ち着く。

 

 

 

【Disc 3】

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いくつかのパートから成る30分のダークアンビエント/ノイズドローン的な作品。

CDには短波、パルスジェネレーター、ディストーションのためのComputer Assisted Musicとある。(どう訳せばいいかわからない)

最初の10分は不安定に揺れるいくつかの音色が入れ替わり立ち代わり表れる綴れ織りのようなドローン。音色のフェードイン/アウトの周期はある程度機械的に制御されたものなのか無機質で同じところをグルグル廻っているような印象。かなり暗いし音色もあまり心地いいものではない。

続いて霧の向こうから聴こえてくる生き物の声や風の音のようなパート。2分程で終わる。

続いてホワイトノイズが左右へ動くノイズドローン的なパート。イヤホンやヘッドホンで聴くと面白そう。途中からは波の音のようにも聴こえる。音色はあまり面白いとは思わないけど音の動きやうねりがあって意外と飽きない。13分ほど。

ラスト5分はアタックのある音とそれが削られた持続音が重ねられたパート。どちらの音にも過剰な空間系の処理が行われているようで輪郭が掴み難い。30秒ほどの無音を挟んで始まる。

 

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リンク先のアルバムから1曲目のみを収録。

冒頭からモーターなどの機械音にも虫の声にも聴こえるような歪んだノイズがあちこちで鳴る。Stephen Cornfordのカセットプレイヤーを用いたインスタレーション/音源を連想するような音も。

すべての音が同じ(または2,3種類ほどの)サンプルの回転数を上げ下げすることによって作られているように聴こえないこともない。疑似テープコラージュ・オーケストラ?*1

5つのパートに分かれているけどそれぞれのパートは元となるサンプルや加工の度合が変わる*2だけでやってること自体は変わらない。

 

 

 

【Disc 4】

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トーンジェネレーターとベースペダルを用いたとても重心の低い30分のドローン。特に冒頭の5分はギリギリ聴こえるくらいの低域のみが鳴っているというハードコアさ。それ以降は音のフィルターの開き具合や粒の大きさが変化する*3音と、そのオクターブ下(?)で鳴る動きの少ない音の持続が中心。ラスト5分は小さな音量でポツポツと音が鳴るとても寡黙なパート。

 

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コンピューターによって制御された(?)オーディオジェネレーターを用いた作品*4。冒頭から右側では何かの警報の再生速度を落としたような音が、左側ではピッチのはっきりしたノイズ混じりの音が偏執的に鳴り続ける。7,8分辺りまではそこに何種類かのブーーーとかビーーーといったような持続音が重ねられたり切断されたり。8分辺りで数種のオシレーターを使って出したような強迫的な和声感の音が鳴り始め左右で鳴り続けていた音に溶け合っていくような場面へ。数分後には全体でひとつの響きとして認識されるような*5クラスター的な音響が形成される。以降は全体としてその様相を維持したまま個々の響きが細かに変化しながらラストまで続く。JMT Synthとかから出てるような鍵盤のないノイズシンセを何台も用いたような音でオシレーター・オーケストラみたいな雰囲気。すごく今っぽいとも言えるかも。ミニマリズムというか引き算的な発想で描かれたというより様々な音響の足し算によって構築された巨大な建造物のようなドローン作品。自分は根本的にはミニマリズムが好きな人間なので自分でドローンとか作ろうとするとこういった方向には向かわないんだけど、聴くぶんにはとても好きだし自分にはできないって思いと情報量の多さに圧倒されてすげえ。。。ってなる。

 

 

 

【Disc 5】

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リンク先のアルバムから3曲すべてを収録。インスタレーションとして制作されたものらしくスピーカーでの再生を推奨している。

「Wider Distance」は11分のドローン。冒頭から6分ほどは少ない音数で音をあまり足さず音量やパンの変化のみで推移していく。和声的に明るくないが、かといってダークという感じでもない、色合いを感じさせないような無機質なトーンがとても好み。6分過ぎた辺りでわかりやすく音が足され和声的にダークな色合いを帯びてくる。9分辺りからは音の足し引きのペースが急に速くなるが全体のトーンは保ったままであまり忙しい印象にならないところが巧い。それぞれのパートの長さを倍にして20分くらいの尺で聴きたかった。かなり好き。

「Waterbed Music Part 1」は15分のドローン。冒頭からクラスター的な強迫感のある持続音が鳴る。そこから複数の音色が次々に表れては消えるが冒頭からのクラスター的な和声のトーンは維持される。和声的には緊張感が高いが音色の質感はどれも柔らか。個別の音色がしっかり左右に振られていたり、その間を行き来したりするので時に全体でひとつの音に聴こえたりそれぞれの音が分かれて耳に入ってきたりする様が面白い。9分辺りで中央に定位した複数の音色をメインにしたパートへ展開。さらに11~12分辺りで左右へ広がりのある音がメインに。

「Waterbed Music Part 2」*6は8分ほどのドローン。和声的な色合いは乏しく新たな音色が入ってくるといった意味での展開もないが、複数の周波数の音が鳴り続ける中でのそれらの音量のバランスの変化、それに伴う干渉の度合を聴き取ると常に音が変化し続けていることがわかる。こういったドローンはとても好き。

 

kevindrumm.bandcamp.com

リンク先のアルバムから1曲目のみを収録。

30分のドローン。かなりぼーっとする音。22分辺りで一旦音が途切れ、それまでよりかなり重苦しい音色のパートが始まる。

語彙が尽きてきた。

 

 

 

【Disc 6】

kevindrumm.bandcamp.com

リンク先のアルバムから2曲とも収録。Editions Megoからリリースされた『Shut-In』というカセット作品の初回20部に特典CDRとして付属していた音源らしい。

「Shut-In Extra 1」は18分ほどのドローン。冒頭からの5度の和音を中心とした力強い和声感の持続が新鮮。

「Shut-In Extra 2」は16分ほどのドローン。こちらも前半に引き続き和声的な安定感は強め。8分辺りでオルガンっぽい音色が入ってくるのでそのまま大団円に向かうかと思いきや、それを期待させた程度でしぼんでいく。

 

kevindrumm.bandcamp.com

リンク先のアルバムから2曲とも収録。

「The Whole House 1」は20分のノイズドローン/アンビエント。ギシギシといった物音、モーターの稼働音のような音、遠くの水の流れのような淡いホワイトノイズが鳴り続ける。中盤からは音量やノイズの迫力が増し濁流のような響きになる。音の足し引きや音色の変化などもあるが、音響的な快楽性を念頭に置いたという感じではなく音がただ鳴っているような、そういう意味では自然音/環境音に近い印象*7。ノイズ的な音色がメインなので和声的な色合いやそれによって発生する情緒などもない。“アンビエント”というものの解釈にもよるだろうけど、空間に音が放たれ、何らかの場が発生すること、それ以外の機能を持たないことなどからかなりハードコアなアンビエント作品のように聴こえる。音が減衰することなく次の曲へ切り替わる。

「The Whole House 2」は13分のノイズ。前曲の空間を埋めるようなノイズを切断するようなかたちで始まる。このボックスの収録曲の中では音色自体のエグさやその変化の具合、展開の作り方などが最も忙しなく、いわゆるノイズミュージック寄りの演奏。これだけ色合いは違えどドローンばっかり入ってる中で最後にこれやられるとそれは当然かっこよく聴こえる。あーかっこいい。最高。前曲とのコントラストある構成も効果的だしこれはとてもいいアルバムだと思う。

 

 

 

*1:CDを確認したところCasette Tape Musicとあるのでやはりカセットテープを用いたものらしい

*2:第二、第三のパートでは声のサンプルの使用が目立つ

*3:サンプラーのサンプルの再生範囲を伸ばしたり縮めたりするような感じ。機械的に制御というよりはツマミを回して操作してそう。

*4:Audio Generators, Spectral Computer Assistanceとある

*5:音数自体はかなり多いが

*6:リンク先のアルバムには「Slanted Floors」という曲名で収録

*7:ただ結果的に音響的快楽性は発声している

今月のお気に入り(2017年2月)

・Emptyset『Borders』

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・Marc Robot『Parasite』

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Bernard ParmegianiBernard Parmegiani

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・Michel Redolfi『Desert Tracks』

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・Matt Mitchell『FØRAGE』

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・Phill Niblock『Works For Hurdy Gurdy & Voice』

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・Eryck Abecassis & Francisco Meirino『La Gueule Du Loup』

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・Antipop Consortium『Arrhythmia』

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Outkast『Aquemini』

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・Craig Taborn『Daylight Ghosts』

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・Colin Vallon, Patrice Moret, Julian Sartorius『Danse』

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・Lubolo『Redelamente』

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Godspeed You Black Emperor!『Slow Riot For New Zero Kanada』

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・ELEH / Richard Chartier『LINELEH I』

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・Kevin Drumm『Elapsed Time』

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・Oto Hiax『S/T』

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・Simon Fisher Turner『Giraffe

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・Mark Fell『Periodic Orbits Of A Dynamic System Related To A Knot』

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・Visible Cloaks『Reassemblage』

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・Jacques Beloeil『Guillotine』

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The Novembers『Paraphilia』

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・Kangding Ray『HYPER OPAL MANTIS』

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bandcampで聴く《Entr'acte》

近年存在感を増しているベルギーの実験音楽レーベル《Entr'acte》。 基本的にフィジカルリリースのみで、部数も100~300程度に限定されているので既に廃盤となっているものも多く、閉じたイメージのあるレーベルなのですが、アーティスト個人のbandcampページなどを当たるとデジタル版を購入できたりフル試聴できるものも結構あるのでそういった作品をまとめてみました。

《Entr'acte》の作品を初めて聴かれる方はこの中だとBellows、Dale Cornish、Hanno Leichtmann & Valerio Tricoli、Imaginary Forces、Kyle Bruckmann、Nicolas Bernier辺りから入られるといいのではないかと思います。

 

 

・Andrew L. Hooker『In Emptiness There Is Truth (Call No Man Happy Until He Is Dead)

andrewlesliehooker.bandcamp.com

 

 

・Bellows『Reelin'

entracte-digital-e128.bandcamp.com

 

 

・Boche『Beats

boche.bandcamp.com

 

 

・Cheapmachines『Diagrammene

philjulian.bandcamp.com

 

 

・Dale Cornish『Ulex

dalecornish.bandcamp.com

 

 

・Fessenden『Capture/Create

fessenden.bandcamp.com

 

 

・Graham Dunning『Music By The Metre Archive One

grahamdunning.bandcamp.com

 

 

・Hanno Leichtmann & Valerio Tricoli『The Future Of Discipline

hannoleichtmannmusic.bandcamp.com

 

 

・Helena Gough『with what remains

entracte.bandcamp.com

 

 

・Helena Gough『Mikroklimata

entracte-digital-e91.bandcamp.com

 

 

・Helena Gough『Knot Invariants

e140.bandcamp.com

 

 

・Ho. Turner『The Shrill

marcbehrens.bandcamp.com

 

 

・Ho. Turner『Systematic​/​Synergetic​/​Synchronistic​/​Syntonized​/​Sensitized!

marcbehrens.bandcamp.com

 

 

・Imaginary Forces『Low Key Movements

imaginaryforces.bandcamp.com

 

 

・Jacques Beloeil『Guillotine

jacquesbeloeil.bandcamp.com

 

 

・John Wall & Alex Rodgers『Work 2006​-​2011

johnwall.bandcamp.com

 

 

・John Wall & Alex Rodgers『Work 2011-2014

johnwall.bandcamp.com

 

 

・John Wall & Alex Rodgers『Rafia Longer

johnwall.bandcamp.com

 

 

・John Wall & Mark Durgan『139

johnwall.bandcamp.com

 

 

・Kostis Kilymis『More Noise Ahead

thesorg.bandcamp.com

 

 

・Kyle Bruckmann『Technological Music Vol. 1

kylebruckmann.bandcamp.com

 

 

・Machinefabriek『Doepfer Worm

machinefabriek.bandcamp.com

 

 

・Marc Behrens『A Narrow Angle

marcbehrens.bandcamp.com

 

 

・Marc Behrens『Architectural Commentaries 4&5

marcbehrens.bandcamp.com

 

 

・Mark Vernon『Static Cinema

markvernon.bandcamp.com

 

 

・Nick Storring『Rife

nickstorring.bandcamp.com

 

 

・Nicolas Bernier『frequencies (synthetic variations)

nicolasbernier.bandcamp.com

 

 

・Olivier Capparos & Lionel Marchetti『Livre Des Morts

lionelmarchetti.bandcamp.com

 

 

・Strategy『Noise Tape Raggae

strategy.bandcamp.com

 

 

・Zbeen『Stasis

capillarywaves.bandcamp.com

 

 

・3.14…『Entrance to Exit

joegilmore.bandcamp.com

 

 

 

今月のお気に入り(2017年1月)

 

・Lilys『In The Presence of Nothing』

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Cocteau Twins『Heaven or Las Vegas』

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William Basinski『A Shadow In Time』

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・Mika Vainio『Mannerlaatta』

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・Helm『Rawabet』

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・Michael Pollard『Translations 01』

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・檜垣智也『囚われた女』

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・The XX『I See You』

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・Vitor Gonçalves Quartet『Vitor Gonçalves Quartet』

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・The Necks『Unfold』

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BEST OF 2016(次点)

 先日アップした2016年間ベスト(1~20位)の続きというか次点作品のまとめ的なやつです。30枚選んで順位も付けたんですが、21~35辺りまではともかくそれ以降はどっちがより好きとか自分でもよくわからないので、なんとなく今の気分でそうなったくらいのいい加減なものです。画像がbandcampやyoutubeなどの試聴ページへのリンクになっています。

 

 

21. John Butcher, Thomas Lehn, Matthew Shipp『Tangle』

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フリー・ジャズ/フリー・インプロヴィゼーション。マシュー・シップのピアノの一音目から凄まじい。

 

 

22. ともこ一角『ロムエ』

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ポップス。感想はこんな感じ

 

 

23. Gigi Masin『IL SILENZIO DEI TUOI PASSI』

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アンビエント。ジジ・マシンはもうこれだけあればいいやってくらい気に入った。

 

 

24. Claire M Singer『Solas』

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ドローンを多く用いたポスト・クラシカル作品。空間と音の切り離せなさを感じた。

 

 

25. Francisco Meirino『Dissension』

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ミュージック・コンクレート。2016年のメイリノは本当に素晴らしかった。カセット作品だけどデジタルはNYPで落とせるんでお気軽に。

 

 

26. Thomas Tilly『Test/Tone Documents』

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サウンド・アート/実験音楽インスタレーションの録音作品らしいですが、この人のフィールドレコーディングだったりミュージック・コンクレート制作の手腕が十分に発揮された聴き応えのある作品。

 

 

27. Yann Novak『Ornamentation』

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 サウンドアート/アンビエント。Yann NovakがまさかこのタイミングでTouchから出すとは。やってることはずっとそんなに変わらないと思うけどいいものはいい。この人はあんまりミュージシャンって感じがしないのが面白い。

 

 

28. Nakama『Grand Line』

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図形楽譜を用いた演奏。最初は掴みどころないような印象だったけど、スピーカーでデカい音で聴いたら音自体の迫力にブッ飛ばされた。怖い。

 

 

29. Ntogn『Sathurnus』

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ディープでミニマルなテクノ。1曲目の素晴らしさに尽きる。NYP

 

 

30. Kris Davis『Duopoly』

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アヴァンギャルドなジャズ/インプロヴィゼーション。様々な奏者とのデュオ集。ビル・フリゼール、クレイグ・テイボーン、ドン・バイロンとのデュオが特に好き。

 

 

31. Joachim Nordwall『THE MESSAGE IS VERY SIMPLE』

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フィールドレコーディングと持続音を主に用いたアンビエント作品。鎮静を感じる。今年のEntr'acteはどれもこれもイマイチよくわからない…って感じだったけど、最後にすごくいいの出してくれた。

 

 

32. Andy Stott『Too Many Voices』

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エレクトロニック・ミュージック。これについては上半期ベストで取り上げたのでそちらを。

 

 

33. Seiho『Collapse』

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エレクトロニック・ミュージック。夜のドライブの定番みたいになってた。

 

 

34. Sergio Krakowski『Pássaros : The Foundation Of The Island』

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現代ジャズ/南米音楽。感想はこちら

 

 

35. ILLEGAL CROWNS『ILLEGAL CROWNS』

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コンテンポラリー/アヴァンギャルドなジャズ。終始不思議な味のある演奏。

 

 

36. Klara Lewis『Too』

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コンクレート的な感性、手法とアンビエントとしての機能性をすごく上手く溶け合わせてる作家だと思う。傑作。

 

 

37. Basic Rhythm『Raw Trax』

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 テクノ。怪しさがあってよかった。

 

 

38. Dante Boon『for clarinet (and piano)』

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現代音楽。 ヴァンデルヴァイザー楽派。

 

 

39. Tetuzi Akiyama / Makoto Oshiro / suzueri / Roger Turner『Live at Ftarri』

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即興演奏。よくぞこの組み合わせを思いついた!って感じ。素晴らしい。

 

 

40. Hanno Leichtmann & Valerio Tricoli『The Future Of Discipline』

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実験音楽/ミュージック・コンクレート。すごく期待してたのもあって最初は収録時間が短いとか、ひとつの作品っていうより実験の記録的な趣があるところとかEntr'acteらしいといえばらしいんだろうけど…みたいな感じで細かな文句のほうが先に浮かぶ感じだったけど、しばらく聴いてたらこれはこれでいいと思えるようになった。

 

 

41. Dan Weiss『Sixteen: Drummers Suite』

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コンテンポラリー/アヴァンギャルドなジャズ。これについては上半期ベストで取り上げたのでそちらを。

 

 

42. Angharad Davies, Rhodri Davies, Michael Duch, Lina Lapelyte, John Lely, John Tilbury『Goldsmiths』

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現代音楽と即興演奏のシーンで活動する奏者らが集まった一枚。作曲作品3つと即興演奏を1つ収録。メンバーの豪華さに違わぬ演奏で素晴らしかった。 

 

 

43. Julian Shore『Which Way Now?』

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現代ジャズ。これについては上半期ベストで取り上げたのでそちらを。

 

 

44. Esperanza Spalding『Emily’s D+Evolution』

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ジャズミュージシャンが演奏する、様々な黒人音楽、ロック、ポップスの入り交じったような作品。折に触れてよく聴き返した。

 

 

45. tricot『KABUKU EP』

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サマソニで初っ端ブチかましにきた「節約家」の漲ってる感じが忘れられん。

 

 

46. Radian『On Dark Silent Off』

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これこそがポスト・ロックなのでは?ってくらいポスト・ロックを感じた。

 

 

47. G.H.『Housebound Demigod』

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エレクトロニック・ミュージック/インダストリアル。低音エグいのでクラブで浴びたい。

 

 

48. Melina Kriegs『Human Experience』

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ディープ/ミニマルなテクノ。落ち着いたトーンがいい。同じレーベルから出てるQeel『Internal reality』もよく聴いた。

 

 

49. Stephen Cornford & Ben Gwilliam『On Taking Things Apart』

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実験音楽/機械録音。好きな人にはたまらない。

 

 

50. Flin Van Hemmen『Drums of Days』

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これについては上半期ベストで取り上げたのでそちらを。

 

 

BEST OF 2016

遅くなりましたが2016年の年間ベストです。20枚選び順位をつけました。文中の「今年」は「去年」に読み変えてください。画像がbandcampやyoutubeなどの試聴ページへのリンクになっています。ではどうぞ。

 

 

20. Wanda Group『Central Heating』

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これについては上半期ベストで取り上げたのでそちらを。

 

 

19. Jenny Hval『Blood Bitch』

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ノルウェーの女性シンガーソングライターによるソロとしては4枚目になるアルバム。私は本作で初めて知ったんですが、これまでにRune GrammofonやHubroなど北欧ジャズの文脈で有名なレーベルからも作品を出していたり、Kim Myhrとの共演作があったりと、なぜ自分が今まで名前すら聞いたことがなかったのか不思議。音楽性としてはインディー然としたチープさやローファイさのある音作りのちょい耽美なポップスって感じなんですが、本作では全10曲のうち歌が入ったしっかりとしたポップスといえる曲は5曲ほど(2,4,6,7,9曲目)で、他にはそれらを繋ぐインタールード的な役割のコラージュトラックが配置されています。歌モノの曲もそれぞれ曲調や歌声のトーンが微妙に異なっていていいのですが、それらにはどこか既聴感があるのもたしかで、本作で特に惹かれるポイントはインタールード的なトラックと合わさることによる一枚のアルバムとしての流れの良さ。トータル36分という短さもあって一度再生すると全く切れ目なく最後まで流れていくような感覚があります。コラージュっていう手法は一般的には音の断絶感というか、文脈を無視した一瞬の風景の切り替わりなどを演出する際に用いられるものだと思いますが、ここではその手法による効果は “歌モノとそれ以外” といった差異を曖昧にさせるような機能を果たしているように思います。まるで歌モノの曲もどこかから紛れ込んだコラージュの素材のようにすら聴こえます。そういった意味では前述したような歌モノに感じる既聴感も(どこまで意識的なのかはわかりませんが)作品が要請したもののようにも思え、あまりマイナスには感じません。またこうした “歌とそれ以外” の差異を曖昧に感じさせている要因としてコラージュトラックにも彼女自身のものと思われる女性の声が多く用いられている点があります。コラージュにおいて作家性を感じさせるものって素材の選び方だったり配置、展開の仕方だったりするわけですが、その中にこれだけ自分の声(リーディングだったり叫び声だったり)を用いればそりゃ歌との親和性というか、感覚的な距離感みたいなものは近くなるよなと。過去作をあまり聴けていないのでコラージュ的な感性が彼女の中でどうやって生まれたものなのかなどはわかりませんが(前作からプロデューサーとして制作に関わっているLasse Marhaugによってもたらされたものだったりするのかもしれません)、声を用いるという着眼点はとてもシンガーソングライター的だと思いますし、このアルバムも聴けば聴くほどシンガーソングライターが作った作品だということが強く感じられます。

 

 

18. Jakob Bro『Streams』

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前作からドラムをJoey Baronに変えてのアルバム。トリオ編成でのスタジオアルバムは初らしい。ベースはおなじみThomas Morgan。Jakob Broはアンビエント的(?)な音使いが特徴的なギタリストでそこにばかり目(耳)がいきがちで、今までそれなりに作品は聴いてたんですけどなんとなく聞き流してしまうことが多くて正直それほど向き合って聴いてはいませんでした。今作はスタジオアルバムということもあってか曲重視の作品、演奏って感じが強くて、彼らの音楽が全体の雰囲気をアンビエント的に聴取するよりも、ジャズ的というか、まず曲という下敷きがあったうえでの即興的なフレーズの絡み合いや関係性の変化、所謂インタープレイに注目して聴いたほうが面白く聴けるものだってことに今更ながら初めて気付けた作品になりました。特に歌うようなフレージングで前面に出てくることの多いトーマス・モーガンの演奏の素晴らしさ。このトリオはこの人の演奏聴かせるために存在してるって言ってもあながち間違いではないような。ギタートリオという編成でこの関係性はもちろん普通ではないんですが、ヤコブ・ブロのサウンドスケープ的な音使いにはこれがもの凄くしっくりきていて、自然にそうなったみたいな関係性に思えるのがいい。

 

 

17. Manfredi Clemente『La forme du paradoxe』

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頼んだのは他の作品だったのにレーベル側の手違いで送られてきて思いがけず聴くことになったイタリアのコンクレート作家の初アルバム。近年はクラブミュージックなどの文脈でもその影響を受けたサウンドが多く出てきていて耳にする機会の多いミュージック・コンクレートというジャンル/手法ですが、本作はどちらかというとアカデミックな現代音楽の一種としてのそれという趣が強く、オーセンティックと言ってもいいような作風。録音の質感や、距離感、空間の広がり方の違う様々な環境音が加工や変調、パンニングなどを施されながら継ぎ接ぎされていく様は目新しさやインパクトこそあまりないように思えますがとても丁寧に作られていて確かな強度を感じさせる作品に仕上がっています。こういった現代音楽からの流れのうちにあるミュージック・コンクレートって個人的にはまだあまりその魅力にのめり込むことができていない分野なのですが(アンリもシェフェールもベイルもフェラーリも掻い摘んで聴いてみたりはするのですがどうも夢中になれない…)、これはかなり今の自分にとってリアリティのあるサウンドとして響いてきましたし、ミュージック・コンクレートの深み、面白さを実感させられました。楽器音から人の声、鉄を叩いたりするような物音から自然音まで、何の関わりもなさそうな音の羅列(ことごとくクールに決まってる!)にも思えるんですが、注意深く聴くと人がたてる音の割合がかなり高いような。Jenny Hvalとこれに関してはハマったのがごく最近のため勢いで入れてる感もなくはないです。

 

 

16. Meshuggah『The Violent Sleep of Reason』

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スウェーデンデスメタルバンドの八作目。前々作、前作ではスラッシュっぽい疾走ナンバーも入ってましたが今回はそれらしい曲はなく全体的にグルーヴに焦点当てたような作りで『Nothing』に近いと言えそう。自分は彼らの作品では『Nothing』が一番好きな人間なのでこれもかなり好き。毎回そうなんだけど、最初聴いた時はめちゃくちゃ複雑に聴こえるリズムが聴き込むにつれて身体に馴染んできて、終いにはすごくノリやすい音楽にすら思えてくる不思議。まあ自分はシンバルに焦点合わせて頭振ってるだけでギターリフの細かい譜割りも把握してないし、キメの部分もちゃんと覚えてないのでそこで微妙に見失ったりするので錯覚といえば錯覚なんですが、それでも十分すぎるくらい楽しめてしまう音楽だと思うんであまり難しく考える必要はないのかなと。あまりにもドスの効いた一曲目のイントロがかっこよすぎてそこがハイライトに思えてしまうのがちょっとだけ惜しい気もしますが(というか彼らのアルバムはこれに限らずどれも一曲目のイントロが最高すぎる)、アルバム通して本当によく聴きました。あと音色というか音作りに関しては前々作、前作辺りと比べるとバキバキ感というかガチガチ感というか、そういうのが抑えられて少しだけ輪郭曇らせたみたいなアトモスフェリックな質感がある気がして(なんかそういうサウンドスケープ挿入される場面もあるし)、それも好みでした。

 

 

15. 宇多田ヒカル『Fantôme』

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活動休止期間を経て、8年ぶりのオリジナルアルバム。“母の死”というものが大きな影を落とした作品だというのはたしかだと思いますが、そういった曲ばかりが収録されているわけではなく、そのようなパーソナルな視点で書かれたと思しき曲が奇数、他者の視点やその経験をもとに書かれたような曲を偶数の曲順に、交互に配置した構成。この並べ方に対しては一枚のアルバムとして聴いた時にちぐはぐな違和感を感じないわけではないのですが*1、活動休止中の彼女の生活が当然ながら“母の死”だけで語れるものではないこと、その他に見聞き、経験したものがその影を振り払ってくれることもあれば、ふとした時、様々なかたちで彼女の心の中に姿を現すといった心境、揺らぎをストレートに反映したものだと捉えることもできるのかなと思います。『Fantôme』が意味する幻、気配のように“母の死”が偶数ナンバーの曲でも感じとれるのでは、とも思ったんですが、そう意識すればそう聴こえる瞬間もなくはないですが、決して多くはなく、それが通奏低音のように流れるタイプの一種のコンセプトアルバムというよりは、それをある意味で忘れた瞬間も含めた今の自分を素直に表現しただけ、といった感覚に思えます。パッケージ性というか作品性みたいなものを考えればコンセプト作のような作りにもできたと思いますし、その部分において本作の出来に納得がいかないという方がいるのもわかるのですが、私は正直な人の正直な作品だと好意的に受け止めました。単純に曲の出来として、アレンジの語彙は増えたけど作曲、歌唱の面においては以前ほど才気走ったものを感じさせる瞬間は減った*2ように思いますし、人間活動(=普通の生活?)を送った結果として音楽家としてもやや普通になってしまった(=つまらなくなった)と私自身も感じないわけではないんですが、どうしてもそれを否定する気になれないんですよね…。まあアルバム発売前の『SONGS』の放送で聴いた「ともだち」があまりにもグッときてしまった時点でこのアルバムに対しての自分がこういったスタンスになってしまうのは決まっていたのかもしれません。まあだからといってこの作品が彼女のアルバムで一番好きかというと答えはNoなんですけどね。

 

 

14. Molecule Plane『Acousicophilia』

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これについては上半期ベストで取り上げたのでそちらを。

 

 

13. Francisco Meirino『An Investigation On Electricity, Magnetic Fields & (para)Normal Electronic Interferences』

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スイスのコンクレート作家フランシスコ・メイリノによる作品。非常に緊張感が高く、時に聴き手の神経を徐々に捻じりあげてくるような音色やその配置が持ち味の作家ですが、本作では比較的音の重ね方などに表面上強迫的なところがなく、また展開の作り方においてもこの人の特徴である “持続と断然” の断然の部分のインパクトが抑えめで持続のほうにより意識があるような仕上がり。ある帯域に偏った鳴りが神経質に刺さってくるような感覚は控えめで、耳が痛いような音色の割合も少なく展開の中でのダイナミクスも抑えられてる感じでどこか静謐さを感じるようなアルバム。出しっぱなしの音を徐々に重ねて息の長いクレッシェンドを描いていくような5曲目はその時間感覚などからメイリノ流アンビエントとも言えそう。ツマミをゆっくり回していくような感覚も全編そこかしこにあって、ぼーっと聞き流せるような感じもありつつ耳を澄ますと相当変化に富んでる。なんか単純に地味になっただけと捉えられなくもなさそうな一枚だけど、この感覚はすごく好き。メイリノって個人的には再生するのに少々覚悟が要る音楽で常時聴けるものって感じではなかったのだけど、これは結構いける。

 

 

12. Kassel Jaeger / Stephan Mathieu / Akira Rabelais『Zauberberg』

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これについては上半期ベストで取り上げたのでそちらを。

 

 

11. Tanaka/Lindvall/Wallumrød『3 pianos』

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これについてはこちらを。

 

 

10. Steve Lehman『Sélébéyone』

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これについてはこちらを。

 

 

9. Pita『Get In』

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これについては上半期ベストで取り上げたのでそちらを。もしかしたらPitaの作品で一番かもってくらい気に入ってしまいました。

 

 

8. 石上和也『cleaner 583』

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90年代からノイズやミュージック・コンクレートの分野で活動されていて、今までに100タイトルを超える作品をリリースしているサウンドアーティストということですが、私はこれを手に取るまで全く知りませんでした。内容はモノトーンな持続音だったりノイズ的な音色のレイヤーで描かれるアンビエント(?)みたいな感じで、それが11曲70分を超える容量で収録されているのでかなりダレそうなものですが、不思議なくらい最後まで集中力を切らさず聴き通すことのできる作品になっています。ボーっと聴くとずっと同じような音が出ているだけに聴こえる部分も多いんですが、同じ音が鳴り続けるにしてもその音量だったり定位が微妙に変化していたりで、そういった細かな部分が積み重なって結果的に生まれたのがこの聴き心地なのかなと。絶妙に表面がくすみ、ザラついたような音の質感も見事。あとアルバムは序盤から一般的な意味での和声を外れるようなノイズ的な音程(というか音響というか)の積み重なりが多いんですが、8曲目辺りから和声的なやや明るいトーンの音を入れてくる構成が本当にズルいくらい効果的で、これがあるおかげでどうしても通して聴きたくなってしまいます。最初のほうの曲を聴いてるうちは聴き終わったあとこんなに充実感?みたいなものに満たされるとは思いもしなかっただけに余計嬉しくなってしまうような一枚でした。なんとなく買ったものだったのですが、これは本当に出会えてよかったと思える作品。

 

 

7. Melina Moguilevsky『Mudar』

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アルゼンチンのシンガーソングライターの二作目。前作が基本的にピアノトリオ+自身の歌唱という編成だったのに対し今回はさらにギター、マルチリード奏者を加えた編成で演奏されています(数曲でさらに弦や管が加わっています)。人数だけ見れば二人増えただけとも言えそうですが、その二人がかたや曲によって楽器を持ち替えるマルチリード、かたやエフェクターなどを駆使して非常に多彩な(時にフルートのような)音色で演奏するギタリストといった具合なので、全体のサウンドとしては増えた人数以上に格段に彩り豊かになったように聴こえます。マルチリードはアンサンブルの間を縫うように演奏するだけでなく歌のメロディーに対しユニゾンとオブリガードを自在に行き来したり、ギターは効果音的な役割を果たす場面もあったりとその用い方もありきたりではないですし、非常に有機的に変化するアンサンブルといった趣でそのひとところに留まらない感じはなかなか掴みづらいようにも思うんですが、奇を衒ったような感じや難しさが前景化しないバランス感覚は本当に見事。メリーナ・モギレフスキー自身の歌も伸びやかで力強い歌唱から跳ねるような軽やかなハミング的な歌唱まで難なくこなしていてパフォーマンス能力激高。モギレフスキーがしっかりとメロディーを歌う場面ではそれを大切に引き立たせるような意識こそ感じますが、ボーカルも楽器の一つとしての扱いで単純な歌と伴奏みたいな前後関係では成り立ってように思います。アルゼンチン音楽(南米音楽)と現代ジャズの文脈で語られることの多い作品で、もちろんそれらのエッセンスが巧みに融合した音楽なんですが、個人的には聴いてるとボーカル以外の楽器の音なんかはとても匿名的、無国籍的に聴こえてきたりもして、なんかジャンルやカテゴライズを超えたポップ・ミュージックとしての奥深さや強度を感じる作品でした。

 

 

6. Raphael Malfliet『Noumenon』

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これについてはこちらに。

 

 

5. Valerio Tricoli『Vixit』

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テープマシンを改造したような自作システムを用いるイタリアのコンクレート作家の作品。彼は今年ソロ作2枚に加え他者との共演作や参加ユニットでも(私が知る限りでは)3枚のアルバムを出していて大活躍。一応全て聴いたのですが私は本作が一番好みでした。個人的には今までValerio Tricoliはソロよりも共演盤のほうが好きなものが多くて、ソロ作もいいんだけどちょっと冗長なところがあって途中で集中力が切れてしまうのが気になってたんですが、これはレコードのAB面それぞれ15分ほどでトータル30分と短めでそこが完全にカバーされてたのが大きかった。瞬間的な聴かせどころの多さや情報量、それが圧縮されて迫ってくる時の迫力なんかは同年PANからリリースされたソロ作『Clonic Earth』のほうに軍配が上がると思いますが、そちらがその展開の仕方の多彩さや聴かせどころの多さ、そしてトータルタイムの長さなどからやっぱり通して聴くとやや焦点がボヤけて冗長に感じてしまうところがあるのに対し、ひと筆でゆったりと曲線を描くような展開でB面の終盤のピークに焦点を絞ったような全体像の掴みやすさやトータルで聴いた時の聴き心地のよさは断然こちら。彼の作品の中では器楽的な音色が変調され引き伸ばされたようなドローンの存在感が強く、それらがおなじみの左右に飛び交う種々の物音/環境音と溶け合うような場面は深夜の森の中でどこの何から発せられたかも知れない音の群れに取り囲まれ方向感覚を失い目が回るような恐ろしさがあります。奇特な音響/コンクレート作品としてはもちろん、奇妙なサウンドスケープアンビエントとしても聴けそうな感じで意外と間口の広い作品ではないかなと思います。

 

 

4. Peter Evans『Lifeblood』

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ジャズ~即興演奏の分野で活動するトランペッターのソロ作。彼の演奏はそれなりにいろんな作品で聴いているけどソロ作を聴くのは今回が初めて。というかトランペット・ソロのアルバム自体聴くの初めてといっていいくらい(プリペアドなりアンプリファイを施したものだったらあるけど)。トータル110分の大容量でどの演奏も本当に素晴らしいんだけど、やっぱ一番印象に残ってるのは27分吹きっぱなしの1曲目かな(単純に最初に入ってて一番よく聴いたからだろうけど)。彼の演奏には(トランペットっていう楽器にあまり詳しくないから推測になってしまうけど)普通トランペットの演奏で耳にしない音域だったり、息が管を通ってるだけのような音、そこにバルブの操作を組み合わせた紙を丸めるようなクシャクシャとした音など、おそらく特殊奏法に分類されるようなやり方でしか出せないような響きも多く用いられていて、そういった面では例えばジョン・ブッチャー*3などのフリー・インプロヴィゼーションの奏者のような楽器から新しい音響を引き出しその可能性を拡張するような意識も感じられはするのですが、演奏自体がフリー・インプロ的に聴こえるかっていうとあまりそういう瞬間は多くなくてどちらかというと、というかむしろドがつくほどのジャズに聴こえる瞬間のほうが多かったりします。私はトランペットはまだ全然ですが同じく管楽器であるサックスならフリー・インプロ系の奏者のソロとか結構聴いたりするんですが、例えば先にも挙げたジョン・ブッチャーのソロ演奏がその音色の変化の機微やダイナミクスの豊かさ故に聴く環境をかなり選ぶのに対して、ピーター・エヴァンスのソロって車の中とかで聴いてもかなり楽しめてしまうんですよね*4。まあ「Night, part1~3」と題された演奏などは繊細な音量のコントロールが魅力的なのでちょっとキビしいですが。吹きまくりといっていいフレージングでまるで綱を手繰り寄せるように、演奏が先へ先へ進んでいくような時間感覚、推進力もなかなかフリー・インプロでは感じることのないもので、この辺もジャズ的に聴こえる要因なのかなと。なんかあらゆるところでジャズみを感じさせてくれる作品でした。あとこれ録音の質感があまりクリアでない独特な感じなのがまたいいですね。マイクのセッティングとか気になる感じ。結構コンプ感もあるなと思って波形見てみたら過剰ではないですがそれなりに潰してる感じでした。車の中で聴いても楽しいのは単純に潰してるからだったりして…。

 

 

3. Francisco Meirino『surrender, render, end』

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フランシスコ・メイリノは今年本当にヤバかった。先に挙げた『An Investigation~』と今回のには惜しくも入れられなかった『Dissension』ってアルバムも傑作だったし。でもやっぱ特に唸らされたのはこれ。メイリノの作品って展開の中で音風景を切り替える時の「バチッ!」とか「ズバン!」みたいな断絶の仕方だったり、音の左右への動き方の手触りだったり、音素材の選び方によるものと思われるドメスティックな雰囲気だったり、本当に彼独特のとしか表現できない要素が沢山あるんだけど、今作はそれらが何かしらのひとつの方向性(コンセプトみたいなものがあるってどこかで見た気もするけどよく覚えてない)に向かってガッチリと統合され高純度でパッケージされてるような一枚。また彼の作品はそのドメスティックさとかバイノーラルマイクなんかも用いることもあるらしい音の距離感や動きのせいかスピーカーよりイヤホンで聴いたほうがしっくりくるものが多かったりもするんだけど、これも正にって感じで、音量上げてイヤホンぶっ刺して聴いてると持続的な音が段々レイヤーされていく様はこめかみをネジで締め上げるようだし、それが別の音に切り替わる瞬間なんかはこっちの脳の神経回路ごと切断しにくるようなショッキングさ。聴いてるとどんどん視界が狭まっていってイヤホンで外の世界と断絶されてるような密室感、没入感もすごい。なんというか音でこんだけ触覚にクるような表現できるんだっていう驚き(スピーカーで大音量だったら音が振動として身体(触覚)で感じられるなんてことはあるけどそういうのとはまた別種の)。なんかすごいマゾな聴取体験な気もするけど一時期これイヤホンで聴くのほんと病みつきになってた。間違いなくメイリノの中で一番好き。

 

 

2. Moe and ghosts × 空間現代『RAP PHENOMENON』

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ラップ担当の萌とトラック担当のユージーン・カイムからなるヒップホップグループMoe and ghostsと、醒め切ったポストパンクポストパンクを鳴らすバンド空間現代のコラボ作。基本的には空間現代の演奏に萌のラップが乗るかたちでユージーン・カイムの存在感は控えめ。空間現代の演奏って(唯一聴いたことがある『空間現代2』の印象では)時間の流れのうえに音があくまで点として打ってあるだけってイメージで池田亮二とかを参考にしてそうな(一般的な意味での)グルーヴ感というか揺らぎのなさが特徴だと思ってたんですが、今作では忙しなく言葉を吐き出し続け全速力の千鳥足みたいな不可思議なフロウで一筆書きの迷路みたいな線を描く萌のラップがその点を繋ぐような役割を果たすことによって暴き出されたものなのか、それとも単純に萌のラップに引っ張られてなのか、とにかく空間現代の演奏が驚くくらいグルーヴィーに聴こえます。「不通」の終盤で萌があるセンテンスを繰り返し用いるところなんかは空間現代はあくまで空間現代らしい演奏をしているんですが、にも関わらずそこから今まで感じたことがないような異様な高揚感を感じますし、全編そういう危なっかしいほどに魅力的な瞬間がそこかしこにあってこれが相乗効果ってやつかと…。Moe and ghostsのアルバムは未聴なので断定はできないんですが、これ明らかにコラボでしか生まれ得ない種類のヤバいグルーヴがある作品だと思いますし本当にタイトル通り“+”ではなく“×”になってる。リリースは四月なんですがある理由で聴かず嫌いしてしまってて聴いたのは11月に入ってからとかだったと思いますがそこから怒涛の勢いでリピートしまくってました。今年聴いたヒップホップのアルバム(といっても大した数聴いてないけど)ではこれとSteve Lehman『Sélébéyone』がズバ抜けて印象に残ってるんだけど、この二枚どちらも独自の歪さを感じさせる音楽で、自分はヒップホップにそういう歪んだ風景とか得体の知れなさみたいなものを求めてるのかも。

 

 

1. Thomas Brinkmann『A Certain Degree Of Stasis』

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テクノから音響、実験音楽の分野で活動する音楽家の作品。50分の曲が二編、CD二枚組みに及ぶドローン的な内容。近作ではコンセプト(厳格なミニマリズム)に基づくストイックな表現を徹底していて本作もその系譜にあるのでしょうが、本作はその流れの作品のなかでも音自体の持つ快楽性が非常に高く、コンセプトを抜きにして音の説得力だけでぶっ飛ばされる具合は段違いと言ってもいいくらい。The NecksやSwansなんかがリズム楽器を封印して反復ではなく持続を執拗に追求したらとか、ONJOからONJTに以降する辺りでNew Jazzってコンセプトを放り投げてノイズオーケストラ化したらとか、いろいろ例えが思い浮かぶ音なんですが、なにより驚きなのがこの音を仮にもテクノをそのキャリアの出発点としたひとりの音楽家が出してるってこと*5。この分野の人にここまでのドスの効いた音出されてしまったらノイズ/アヴァン系のギタリストとか何したらいいんだっていう。私は1時間くらいのドローン作品とか好きで日常的に聴くんですが、そういうのっていい作品であればあるほど聴き終えた後しばらくボーッとしていたくなるものが多いように思うんです。でもはこれ一枚目聴き終えたらすぐ二枚目聴きたくなりますし、二枚目聴き終えた後もボーッとするどころか何かしなければいけない感覚に襲われるような、鑑賞者の背筋を伸ばし、立ち上がらせ、あわよくば表現の道に引きずり込まんとするような強烈な引力をすら感じます。ネックスやスワンズなどが比較対象として思い浮かぶような“演奏”している感じ*6や有機的な能動性が全編で感じられるからなのか…ドローン作品でこういった種類の感動を感じたのってもしかしたら初めてかもしれません。なんか下手したら泣くんじゃないかっていうような瞬間すらあります(これで泣いたら完全に頭オカシイと思いますがw)。暑苦しいかもですが意志とか覚悟みたいなもの感じずにはいられない音ですし、音楽にこれだけ賭けることができる人がいるんだって希望を持てる作品でした。トーマス・ブリンクマン、本当に素晴らしいアーティストですね。ライブ観たかった。

 

 

 

 以上20作品。このうち上半期ベストで既に取り上げていたものは4作品に止まっていて、2016年は下半期が特に忙しいくらいに豊作だった印象があります。毎月なにかしら大きなインパクトを持った作品が出ていたような。

年間ベストを選ぶにあたっての分母というか、2016年に聴いた新譜の数は正確には数えていませんがストリーミングも含めると300枚くらいになるんじゃないかと思います。そこから20に絞ったわけなので当然もの凄く悩んだと同時に今自分がどういう音に本当に惹かれているのかかなり突き詰めて考えることにもなりました。

意識的なものではありませんが、ここに並んだ作品を眺めてみるとドローン/ミュージック・コンクレート的なもの(1,3,5,8,9,12,13,14,17,20)、女性ボーカル(2,7,15,19)、ジャズ(4,6,10,11,18)といった分類もできますし、たしかにこの辺は今年の自分の聴取傾向の中で大きなものだったなと思います。

女性ボーカルはここに挙げた4作品以外でも、新譜ではありませんがトルネード竜巻、Ropes、tricotなど年間通して本当によく聴いていて、宇多田のリリースは個人的にその極めつけみたいな受け取り方もしてました。

ジャズ/即興演奏に関してはオーセンティックな(?)フリー・インプロヴィゼーションの流れにある奏者より、色濃く現在進行形のジャズとの交流を持っていたり、またはどちらかというと現代ジャズの分野をメインに活動している奏者の動きリリースに面白みを感じる一年でした。また4,6,11位の作品などでは録音の質感やクオリティーがその作品全体の価値を押し上げている面も強く、こういった音楽分野での録音の大切さを実感させられました。

泣く泣く省くことになった作品も多いですし次点作品も近いうちにまとめておこうと思っています。

あくまで一個人の偏った観測範囲と趣味嗜好によるものですが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。そして2017年もよろしくお願いします。

 

 

 

 

*1:1曲目から2曲目に移るところはあまり好きではないですし、9曲目から10曲目もかなりギャップがあります。ただ後者の並びは私は好きです。

*2:ただ「忘却」での歌唱は以前のような脆さと背中合わせの美しさみたいなものを(おそらく誰もが)感じる鬼気迫ったものでしょう。今現在のKOHHの活動や佇まいが放つ危うさが引き出したものなのでしょうか。

*3:まあ彼はサックス奏者ですが…

*4:個人的にジャズは車の中でも楽しんで聴けるもの、フリー・インプロは車の中では全くダメみたいな分類意識があります。だからといってジャズがダイナミクスに乏しい音楽だとは思いませんが…

*5:本作がどのような手法で制作されているかは聴くだけではうまく判断できない部分が多く、例えば一枚目で大きな存在感を放っているエレキギターのような歪んだ音色は誰かギタリストに弾いてもらったのかもしれませんし、そういった演奏なり音源をカットしたレコードをターンテーブルでどうにかして出してるのかもしれません。なのでひとりの音楽家が出してるって表現は適切でないかも

*6:一種のアヴァン・ジャズみたいな形容が思い浮かびます