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2013の13 part.1

先日アップした50枚から年間ベストとして13枚を選出。10枚にしようと考えていたのですが、どうしてもこれ以上削ることができずやむなくこの枚数に。。

何度かに分けて(できるだけ年内に)アップしたいと思います。どうかお付き合いください。掲載順に特に意味はありません。では早速、

 

 

Ryuichi Sakamoto + Taylor Deupree『Disappearance』

 

Disappearance

Disappearance

 

 

悪かろうはずもないコラボ。夏には冷ややかなピアノが、冬には暖かな電子音が、とどのつまりいつでも聴ける最高のアンビエント

テイラー・デュプリーのこの路線は昨年の『Faint』で極まった感があったのですが、今作にいたってははこぼれ落ちる寸前の甘さというか、このタイミングでないと生まれ得ない幸福な仕上がりに。

私はこれ以降12k作品への興味が急速に薄れてしまいました。これ以上はあり得ない。

 

 

 

・Christophe Charles『Hcdc』

 

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フランス生まれの音響作家クリストフ・シャルル。アンビエント、ドローン、フィールドレコーディングを跨ぐ圧倒的なスケールを持った42分の快作。

今年は音響作家による40分前後の作品を(旧作含め)いくつも聴いたのですが、ドローンのテクスチャーの変化が全体を引っ張るようなものが多い中で、今作は一線を画していました。

周期を持った電子音、接触音や淡いノイズ、時折立ち上がり不安定に揺れるドローン、そして中盤以降存在感を増す器楽的なサンプルと地を揺らす低音。序盤では中心の定まらないような抽象的な時間も多く、不安定に規則性と不規則性の層が重なり、一寸先すら読めない、まるで大地を俯瞰で捉えたフィールドレコーディングのような雄大な在り様。大音量必至で地球を感じれます。

 

発売にこぎつけたmurmur recordsに、いちリスナーとして感謝です。

 

 

 

・Tomas Phillips & Kenneth Kirschner『Five Transpositions』

 

ファイヴ・トランスポジションズ

ファイヴ・トランスポジションズ

  • アーティスト: ケネス・カーシュナートーマス・フィリップス
  • 出版社/メーカー: BounDEE by SSNW
  • 発売日: 2013/09/04
  • メディア: CD
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日本のレーベルSADより届けられた、12k, lineなどからリリースのある二者の共作。

個人的にケネス・カーシュナーは12kからの『Filaments & Voids』などの極ミニマルな印象が強く、今作もストイックな内容になるのではと想像したのですが、届いてみると、トーンこそ暗めですが、ドローンでは音色が重ねられて層が部厚かったり、結構大胆な展開があったりで非常に変化に富んだ内容だと感じました。

特に1曲目、9分30秒辺りで飛び込んでくるエディットされた声は印象大。全体に漂う仄暗さや、どことなくオーガニックさを感じるところ、収録曲の時間配分など、どれもが絶妙に自分好みの塩梅で、それぞれ趣の異なる短めの曲だけ聴けたりするので、いつの間にかすっかり愛聴盤に。

 

 

 

・Burkhard Stangl『Unfinished. For William Turner, Painter.』

 

Unfinished. for William Turner Painter.

Unfinished. for William Turner Painter.

 

 

実験音楽の老舗レーベルTouchから、即興演奏を中心に活動するバークハード・スタングルのリリース。Touchのラインナップの中では少々異質な感アリ。

丁寧に、柔らかに紡がれるギターの即興と、淡く密やかに重ねられるフィールドレコーディング。構成する要素はほぼこれだけ。

優しく寄り添うような寡黙さ。

演奏者の身体から染みだし、聴き手の心に沁み入る音楽。

ギター・アンビエントでここまで感動的なものに出会えるとは!

 

 

 

渋谷慶一郎『ATAK019 Soundtrack For Children Who Won't Die, Shusaku Arakawa』

 

ATAK019 Soundtrack for Children who won't die, Shusaku Arakawa

ATAK019 Soundtrack for Children who won't die, Shusaku Arakawa

 

 

こんなサウンドトラックがあっていいのだろうか・・・!

今作は音楽レーベルATAK主宰、渋谷慶一郎による映画『死なない子供、荒川修作』のサウンドトラック、であると同時に5枚目のソロアルバムでもある。

前掲のBurkhard Stangl『Unfinished. For William Turner, Painter.』において、ギターとフィールドレコーディングの二つの要素が、共に淡い存在で空間を満たしていたのに対し、今作における主要な二つの要素、ピアノと電子ノイズは明確で強靭な存在感でもって目の前にそびえ立ちます。

初めて聴いたときはスピーカーの前で1時間凍り付いてしまいました。

容赦なき傑作。

 

個人的な傾向として、今年はフリージャズ~即興演奏をよく聴いていたのですが、そんな傾向への作用か反作用か、作中でも最も「書かれた」感のある冒頭のメインテーマがとても鮮烈に響きました。収録曲のなかでは、With Madeline Ginsの2曲などで即興的に聴こえる部分も多いのですが、どうなのでしょうね。

なぜか未聴なATAK018も早く聴かなきゃなぁ。

 

 

 

渋谷慶一郎 + 初音ミク『ATAK020 THE END』

 

 

ボーカロイドオペラの音楽を収録しCD化した作品。EU editionを購入。

私はボカロ作品を聴くのは今作が初めてなうえ、オペラに関する知識も皆無、CDのみのバージョンを購入したためヴィジュアル面にも触れていないので、未知な部分があまりに多く書けることはほとんどないのですが・・・・・・・。

とにかくまずは冒頭のストリングスの中毒性がヤバいってことと、、、あとは情報量の多さに相反するような聴き心地のよさでしょうか。ipodにイヤホンで聴いても、細かなニュアンスの違いこそ感じれど、それが全然苦にならないんですよね。

印象的なストリングリフにも象徴されるようなリズミカルな身軽さが構えることなく再生ボタンを押させてくれて、気が付くと序曲聴いてます。

種々のギミックなど全く拾えてないので、私がこの作品を楽しめるのはまだまだこれからですね。