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2014上半期ベスト

 

早いもので今年も半分が終わってしまいました。ということでやります上半期ベストです。早速どうぞ!

 

 

10. France Jobin『The Illusion Of Infinitesimal』

Illusion of Infinitesimal

Illusion of Infinitesimal

 

 i8u名義で活動していた音響作家の本名名義での二作目。いつも通りの透明感のあるドローンと静寂に加え、周期的な音が層を成してループを形成する場面も。この人の作品はいつも最新作が一番いいと思えるのが凄い。

 

9. Jana Winderen『Out Of Range』

Out of Range

Out of Range

 

 イギリスの音響レーベルTouchからのデジタル・リリース。様々な動物が放つ超音波にフォーカスしたフィールドレコーディング作品。ハイドロホンや高性能のマイクによって集められた音群は、どれも非常に出地不明の感あり。フィールドレコーディング作品だが、ドキュメント的な作風ではなく、編集によって物語のような構成、ダイナミズムが生まれている。時折挿入される地の底から湧き上がってくるような高圧ドローンに震えた。

 

8. Ingrid Laubrock Octet『Zürich Concert』

Zurich Cto

Zurich Cto

 

 今年に入ってから、本作にも参加しているMary Halvorsonや、Laubrockとも共演の多いKris Davisなど、この界隈の作品をよく聴いていたのですが、そんな中でリリースされたIngrid LaubrockのOctetでの一枚。この人たちの音には(非常に言葉にし難いのですが)独自の屈折感のようなものがあるのですが、今作では各曲が流れるように続けて演奏されるためか、サウンドスケープのようなスムーズさを感じる場面も。1曲目には驚かされました。

 

7. Shotahirama『Cluster』

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今年に入って怒涛のリリースラッシュを展開しているShotahiramaさんによる、Post Punk三部作の内の第二弾。他の2作とは違い終始ビートレス。機械的に砕かれた音を、外部で感覚的に操作する手の存在。肉体的時間操作のグルーヴが宿る。全6曲が収録されているが、曲間に切れ目がないため全体を1つの楽曲として楽しめる。序盤のノイジーな音の応酬が、進むにつれて確かな構造を持ったエレガントなモチーフへ収束していく構成が見事。粉々になった粒子が逆再生により原型を取り戻していくような……。

 

6. Francisco López『Untitled #290』

アンタイトルド #290

アンタイトルド #290

 

 フィールドレコーディングの加工、編集によって構成された音響作品。情緒を排したインダストリアルな響きや、作品全体を貫くジャケ写のような仄暗いトーンが好みでよく聴きました。素材の質感が鈍く残ったような音の状態の絶妙さなど…。個人的には初めて聴いたロペス作品だったこともあり、強く印象に残っています。

 

5. Janek Schaefer『Lay-by Lullaby』

Lay-By Lullaby

Lay-By Lullaby

 

 最近の12kでは際立って印象に残った作品。ラジオから流れ込んでくるような、断片的な曲想、夜の静寂と、それを切り裂くような車の通行音のコントラスト。

 

4. 杉本拓『Quartet / Octet』

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今年初めに入手し、未だによく聴いている作品。微分音が多用されているからか、浮遊感のある、どこか非現実的な音像。あまり鮮明でない録音の加減も相まってか、現実が漂白され、景色が遠のいてゆくような……ちょっと他では味わえない感覚があります。

 

3. カフカ鼾『Okite』

okite

okite

 

 石橋英子、山本達久、ジム・オルークによる変な名前の新バンド。どういった音が出てくるか想像がつかず、散々迷った挙句購入したのですが、これが大正解。揺らめくドローンに点描的に音が打たれるような幕開けから、その波紋が徐々に増幅し、大きなうねりとなって祝祭的なラストへ。最終盤、ものすごい推進力を持って畳みかける山本達久のドラムがヤバい。

 

2. Lucy『Churches Schools And Guns』

Churches Schools & Guns

Churches Schools & Guns

 

 前作『Wordplay for Working Bees』を聴いた時点では、私自身の嗜好が追い付かずあまりピンと来なかったのですが、本作でどハマりしました。硬いグルーヴを刻む前半から、徐々に抽象度が増す後半まで、1時間以上ある作品ですが全く退屈させません。地から隆起した根、幹、枝葉、掬い取った種子を科学的な視点で編み上げていくような…。前半のトラック群には心底打ちのめされました。感服。

 

1. Thomas Ankersmit『Figueroa Terrace』

Figueroa Terrace

Figueroa Terrace

 

 近年密かな盛り上がりを見せているアナログ・モジュラーシンセによる即興(?)パフォーマンス作品。そのノイジーで弾けるような音の印象は鮮烈でした。再生した瞬間に電子音が溢れかえる至福。煌めくような高音と静寂が支配する中盤から、増幅し凄みを増す低音がハレーションを呼ぶ終盤への構成も見事でした。圧倒的に硬派な、これぞ電子音楽

 

 

以上10作品。なのですが、ここ一か月ほどで入手した作品については、(思いつくだけでもここに食い込みそうな作品がいくつかあるのですが)あまり聴き込めていないので選定から除外しました。なので純粋な上半期ベストとは言えない感も……。まぁそれらは年末にとっておきたいと思います。