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goat 2nd Album “Rhythm & Sound” Release Party in 福岡 Keith Flack

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に行ってきました。出演者も多くオールでこそないですがそこそこ長めのイベントで楽しかったんですが、中でもやっぱりgoatがヤバすぎたんでgoatについてだけ書きます。

 

goatは大阪発の人力ミニマルバンドで今までHEADZから二枚のアルバムを出してて、今回はそのセカンド・アルバムのリリースツアーの中での来福。バンドの中心人物である日野さんは2月にもソロ(YPY名義)で同じ会場でライブしてて、その時からgoatでも来てくんないかなーと思ってたので個人的には待望の、ってヤツです。

約1時間ほどの演奏で5曲、一曲ごとにわずかに休憩をはさみながらも(見るからにって感じですが演奏するの疲れるらしいです)超タイトなパフォーマンスでした。

goatのアルバムは2枚ともお気に入りで結構繰り返し聴いてたんですが実際に生で見てみて驚いたのがその演奏力とそれによる音楽の再現性の高さですね。CDを繰り返し聴いていたとは言いながら曲の構成や細部まで記憶できてはいないので、ライブでの演奏がCDと全く同じに行われたかはわかりませんが、目の前ですべて人力で明瞭に音楽が組み上がっていく様は“鉄壁”とすら表現したくなるほどでしたし、その誤魔化しのきかなさゆえの緊張感は聴き手に目(耳)の離せなさとして伝わっているように感じました(自分は2列目くらいに居たので後ろの状況はわからないですが私の視界に入る限りでは聴衆は相当演奏に入り込んでいる印象でした)。

完全に余計なお世話ですがこれもしどこかで一小節でも間違ったらどうするんだろうなとか思ったり。途中で一瞬演奏に違和感を感じるような部分があったのですが、(それも耳で判断したというよりはドラムの方がやっちまった的な苦笑いを浮かべててもしや?と思っただけなので確証はありません)すぐに立て直してましたし、そういう瞬発的な修正作業の危険性が常につきまとってるって意味では演奏する側は本当に気が抜けない精神的にもクる代物だろうなと。そりゃ疲れるわ。

また、彼らの演奏はその再現性の高さゆえに普段のCDなどのリスニングではオミットされてる部分を浮かび上がらせるものでもあって、これは究極的にはライブで音楽を聴く意味ってことにもなると思うんですが、まぁダイナミクスですね。特にファーストに比べてやや地味な印象のあったセカンドの曲がライブで聴くととても表情豊かに聴こえて驚きでした。goatのCDに意図的にダイナミクスを殺すようなミックス、マスタリングがなされているとは思いませんが普段からスピーカーで大音量で音楽を聴ける環境を持ってる人なんてのはごく少数でしょうし、セカンドの曲群はファーストに比べてその魅力がダイナミクスに依ってる部分が大きいのかなと。そういう意味では彼らはある程度の音量を出せる環境さえあればいつでもこのクオリティのライブをやれるってことでもあるでしょうね。そういう意味での強度がありますね、このバンドは。

そのダイナミクスが最も極端なかたちで現れたのが最後に演奏された「std」の終盤なのですが、その部分はgoatの(というか日野さんの)隠れた一面を味わえるパートでもあって、それまでミュート音に徹していたギターがエフェクターを用いて即興的にノイジーな音を繰り出す場面が用意されていて、細部まで管理された演奏を行うこのバンドの中でこの曲のこのパートだけは「即興」の介在する余地があるというか、そこがライブで見るとこちらのインタビュー記事でも仰られている自身の音楽的な遍歴やそこから生まれたコンプレックス(即興への憧れ)の発露にも聴こえるんですよね。その辺の影響もあってかgoatの曲群でも異質なほどエモーショナルに聴こえる曲でもありますし、これを最後に持ってくるのは(以前Dommuneでのライブストリーミングを見た時もこの曲が最後でしたしおそらく毎回そうではないかと推測します)いろいろと思いあってのことなのかなとか想像したりしてしまいます。

「即興」への憧れという観点だと、少し違った表現になりますが以前Dommuneに出演した際に日野さんが「サックスはこのバンドのグリッチ(エラーという表現だったかもしれません)担当」というようなことも仰られていましたし、「即興」的な要素をわずかながらに演奏に介在させていたいというのはgoatの初期のテーマだったのかもしれないですね。

↓ こちらの演奏では随分サックスが即興的に吹いているようですね

www.youtube.com

(“初期の”テーマだったのかもしれない、と表現したのはファーストとセカンド、前掲の動画と今回のライブを比較した際にそういった即興的な要素が徐々に薄くなっているような印象を受けるからです。)