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LL

The International Nothing『The Dark Side Of Success』

去年の年末に買ってから全然ちゃんと聴いてなかったんだけどヤバいヤバいうわーーーーこれマジか…。

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ドイツ、ベルリンを拠点に活動するクラリネット奏者のふたり、カイ・ファガシンスキー (Kai Fagaschinski) とミヒャエル・ティーケ (Michael Thieke) のデュオ・プロジェクトInternational Nothingの三作目。2014年作。 リリースは1st, 2ndと同じくFtarriから。

即興演奏の分野でも活動する二者ですが、このプロジェクトで演奏されるのはすべて本人らによる作曲作品。

音程の動きはそれなりにあるのですが、メロディーを形成しているような場面はあまりなくて、ユニゾンで音を奏でる場面であっても、低音、高音でそれぞれの演奏ラインのすみ分けがされているような場面であっても、意識や関心は二者の音が混ざり、干渉することによって生まれる効果、響きに向けられているように思います。

ニゾンで音を発したときの干渉による音の揺れ、そこに重音奏法で倍音を重ねる場面なんかはとてもクラリネット2本による演奏とは思えないですね…。瞬間的にはクラリネット2本+サイン波オシレーター3個くらいの編成にすら聴こえます。それくらいそれぞれの響きが埋もれることなく個別に、まるで断面図を見せられているかのように耳に入ってくるんですよね。そしてそれがめちゃくちゃ美しいっていう。冒頭でうわーマジかって書いたのはこの部分に対してで、こうやって書いてるのも主にその部分に感動したから。本当に美しい響きだと思います。また、干渉や音の積み方など、周波数、倍音への配慮が感じられるだけでなく、音量の繊細なコントロールによって2者の音(混ざりあったひとつの音であったり、個別の複数の音であったり)が、左右に、時にはグラデーションの色合いが変化するように有機的に動いたり、時にはエフェクティブに飛ぶように感じられたりするのも興味深いです。

作曲から演奏まで、それを成り立たせる諸要素のコントロールに目を丸くする作品ですが、機械的ともとれるその徹底ぶりに対して、生まれている音楽は、クラリネットという楽器の持つ音色の(特に低音部での)柔らかさ と(特に高音部での)鋭さによってか、または演奏する限り不可避に入りこむことになるブレスの音によってか、簡単に有機的、無機的と判断できないような不可思議な魅力を放っているように感じます。

静かな夜なんかに集中して聴くと身じろぎひとつできなくなるくらい強力に惹きつけるものがありますよ。(反面、騒がしい環境で聴いたり、聴き流して楽しむような音楽ではないと思います)

このユニットの演奏は昨年のFtarri Festivalで観たんですけど(正にこのアルバムの曲を、1曲目を除いてフルで演奏してた)、なぜかこの人らの時だけ異様に眠くて演奏に全然集中できなかったんですよね…。なのでその時の印象はなんだかよくわからないって感じだったんですが、改めて集中して聴いてみるとこれは凄いなと。今更ながらあの時眠かったのが悔やまれる…めっちゃ惜しいことしてますね自分…。