Cecil Taylor (p), Jimmy Lyons (as), William Parker (b), Rashid Bakr (ds)
言わずと知れたフリージャズ・レジェンド、セシル・テイラー。その代表作というと、60年代にブルーノートに残した『Unit Structures』や『Conquistador!』辺りが有名かと思いますが、本作の演奏は1981年のもの。
セシル・テイラーというと、同時期に活動しているアルバート・アイラーやオーネット・コールマンと比べて頭でっかちというか、やや難解な印象があって、
事実私もフリージャズなどを聴きだした頃に、ポップなジャケに惹かれて『Unit Structures』を聴いてみたもののサッパリで、それ以来避けて通っていました。
現在は苦手意識もなくなり、幾分楽しめるようになっているのですが、そのきっかけとなってくれたのが本作『Eighth』。
調べてみると、この時期(ウィリアム・パーカー在籍時)のセシル・テイラー・ユニットはブルーノート期にも劣らぬ評価を得ているようで、それも頷けるほど充実した作品になっていると思います。
セシル・テイラーについて、活動の時期を問わず言われることとして、「ユニットの規模やソロイストが自身であるかどうかなどに関わらず、その音楽の中心は揺らぐことなくテイラーのピアノである」というのがあるのですが、
本作では前年よりユニットに参加し、以降ユニット以外の活動においてもテイラーと多く共演することになるウィリアム・パーカーのベースが、終始せわしなく動き続け瞬間的にはテイラーを追い越さんばかりの、まるで演奏の中心線が二本になったかのような存在感を見せています。
鍵盤上で踊り狂うようなテイラーのピアノに、向かう方向は同じでも違う景色を見ながら演奏しているような、ある種演奏から“浮いた”パーカーのベース、二つの軸が存在することによって、このユニットは聴覚上とても立体的であるように思いますし、おそらくパーカーのベースの速度感によるものでしょう、演奏全体が前に進む推進力を強く感じさせます。
演奏の内容はともかく、楽器編成自体はとてもシンプルですし、またそれ故にテイラーの片腕として長く演奏を共にしたジミー・ライオンズのプレイもたっぷり楽しめることから、本作をセシル・テイラーの入門盤とするのもアリかなと思います。
個人的にはセシル・テイラーを初めて聴くなら、有名なブルーノート時代のものではなく、名の通りのピアノソロ作品『Solo』を薦めますが、その次辺りであれば『Eighth』も候補として是非ということで。
『Eighth』、『Solo』どちらもyoutubeにほぼ全編アップされてました。便利!
Cecil Taylor - The Eighth Complete Unedited Performance 1/4 - YouTube
↓ 続き
Cecil Taylor - The Eighth Complete Unedited Performance 2/4 - YouTube
Cecil Taylor - The Eighth Complete Unedited Performance 3/4 - YouTube
Cecil Taylor - The Eighth Complete Unedited Performance 4/4 - YouTube
↓ 『Solo』より
Cecil Taylor "Choral Of Voice" - YouTube
Cecil Taylor ~ Lono ~ Solo - YouTube
Cecil Taylor "- 1st Layer Part of Indent - 1 / 2 of first layer, 2nd 1 / 2 of first layer" - YouTube