二週間ほど前になりますが、bandcampよりアルバムをリリースしました。
去年の夏頃から、ツイッターでよくやり取りさせてもらってる別ミルメさんの音を素材として用いた曲をちょこちょこサウンドクラウドにアップしていたのですが、
それらをまとめて聴きたいとの要望もあり、新曲も加えてアルバム作品としたものです。
ジャンルは電子音楽になるのかな。シンプルな思いつきと、それを具現化する際の速度感を意識して作ったので、実験性などはなく気軽に聴いてもらえるライトな作品集になっていると思います。
本作については主に音素材の提供者として関わっていただいた別ミルメさんが、自身のブログで(半ば作者として半ばリスナーとしての視点での)解説記事を書かれていますが、
私の方でもそれに対するアンサー的な心意気で、主に最終的な音の構成を受け持つ立場から曲毎の解説を書いてみたいと思います。
比べて読んでいただけると、より楽しめるかと。
では1曲目から順番に、
1. Err + dub cloud
ミルメさん作の「dub cloud」に後から音を足すかたちで制作した曲です。
アイディアとしては雷が鳴ってるんだから雨も降ってるだろうっていうそれだけ。
それぞれ雷と雨に聞こえはするけど、本物のそれと間違うことはないアマチュア感ある音作りを楽しんでもらえたらと思います。
私が担当した雨の音に関してはAbleton LiveのGranulatorに無音のトラックを読み込んで出したホワイトノイズで作成してます。
2. redesign of noise realize
原曲の「noise realize」が持続的に音(ノイズ)が鳴っているものだったので、それを別のノイズで切断してみようというコンセプト。
切断時に鳴らされるノイズも原曲を素材として変調した音を重ねるなどして作っています。
また、原曲の終盤には虫の鳴き声を思わせるノイズや涼しげな鈴のような音が入っていたので、「redesigh~」においてはその部分にフィールドレコーディングによる生の虫の声を重ねるかたちで応戦しています。
3.betsu pianoforte (another cold remix)
ミルメさん作の素朴なピアノ曲を加工して作った曲。
原曲が素材として扱いやすい単音ベースで簡素な調性を感じさせるものだったので、
何か機械的なルールを適用することで印象の違った曲に作り変えられないかなと。
用いた手法(ルール)は、言葉にすると伝わりづらそうですが、
原曲をサンプラーに読み込んでピッチダウンしたものを半音単位で別トラックに用意して、
一音目はピッチダウンなし(原曲通り)、二音目は半音下げ、三音目はさらに半音下げ…
と繰り返し、十二音目で原曲のピッチに戻り、再度ピッチダウンを繰り返すという法則で、それぞれのサンプルをオン(オフ)していくというものです。
また、ピッチダウンに従い再生速度が変わる(遅くなる)タイプのサンプラーを使用しているため、それに伴って発音のタイミングも原曲とは違ったものになっています。
あと、発音後のサンプルは残響が消えるタイミングでオフにしているのですが、
原曲がヒスノイズが大きめに収録されたものだったので、その切り替えによって斑な無音部分が生まれることに(かなり気に入ってる部分です)。
4. slide first attack (serene siren rmx)
ミルメさんがポケミクを使用して作った曲のリミックス。
この曲に関しては特に何も考えずに音を足したり引きのばしたりしてたらできたという感じです。
強いて言うなら、後半は海底にこだまする人魚の歌声と心拍音みたいなイメージで。
5. voice effect voice (dual hatsune miku)
原曲がポケミクの単線的なラインに慌ただしくエフェクトをかけて変化させていくものだったので、
私の方でも原曲の声のみの部分を抽出しそこにエフェクトをかけることで、同じような趣向のいわばアナザーヴァージョンを作成し、
それらを競演させたトラック。
単線 × 単線。
6. betsu ambient (white out remix)
原曲のアタックを削いで、よりドローン化させるようなイメージで。
基本的にはGranulatorに原曲を丸ごと取り込んで、ピッチや切り出す位置を操作、ランダマイズしたものに、IRCAMAXのマルチバンドディレイをかけて作ってます。
7. primary contact
この曲に限って、特定の1つの曲ではなく、これまでにアップされていたミルメさんの音源から複数を素材として用いています。
使用したのは、
・voice reverb (plus hatsune miku)
・NSX-39 digital birth (plus hatsune miku)
の6つ。
これらの断片的な素材に、私が作ったノイズやドローンなども加えてノイズ・アンビエント・ミックスな1曲に。
全編通して中央で忙しく鳴っているノイズはWaves Codexを使用して出したもので、
終盤ではそこにIRCAMAXのFXシーケンサーで加工した音を重ねたりしています。
8. betsu cross
この曲のみ先にアップしていた私の音源に、ミルメさんが後から編集と音の追加を行う、つまり他の曲と逆の手順で制作されています。
素材となった私の音源は前曲でも用いたWaves Codexでの簡単な即興。
そこにシンプルながら効果的なミルメさんの音が加わって、生き生きとした音の動きが感じられるトラックになっています。
なお、この曲は制作手順の違いからか、他の曲と並べると多少質感の違いを感じる仕上がりだったので、前曲から大きな無音を挟んでのボーナストラック的なかたちで収録。
以上が私からの解説となります。
逐一挿入したミルメさんの原曲と聴き比べながら楽しんでいただけたら。
また本作『BETSU REMIXES』は各種制作の音素材として自由に使用してくださって構いません。
映像の背景音として使用されるもよし、『BETSU REMIXES』の更なるリミックスを作成されるもよし。
何より私自身が見てみたい(聴いてみたい)ので、
そのような機会にはこの記事のコメント欄でも、私のツイッターにでも気軽に連絡くださればと思います。