東京を中心に活動する音楽家Hisato Higuchiのファースト・アルバム。
本作は自身が運営するGhost Discからのリリースで、ミックスやマスタリング、カバー写真まで自ら行った正にインディペンデントな一作。
音楽性は曇ったトーンのギターとかすれた歌声によるシンプルなフォーク。
アルバム後半の曲群ではフィードバックを伴ったエクスペリメンタルなギターインストの趣も。
アシッドフォーク(中でもSibylle Baierなど、その雰囲気によって評価されている作家達)や、Codeineなどのスロウ/サッドコア、Loren Connors、などの持つ空気感に親しみを覚える人にはたまらない作風だと思いますし、
時期的にGrouperなどのドローン・フォークの先駆けとしての聴取も可能なので、最近のインディーを好んで聴かれる方にも、一歩踏み込んで聴いてみる価値のある作品ではないかと。
ライブ録音によるクリアでない音の質感や紛れ込んだ聴衆の咳き込みなどもこういった音楽にある意味最も重要な“雰囲気”の部分を増長させる方向に作用していて、なんというかマジックを感じてしまう仕上がりですね。
リバーブによって輪郭を曖昧にしたギターのシングルトーンの旋律には、何か念とでも表現したくなるものを纏ったような、ただならぬ気配、魅力を感じますし、
なにより2曲目「Borei」の歌い出しが素晴らしすぎます。
こうやって投稿する以上一応情報や感想など書いてますが、正直これは言葉を連ねる必要性をあまり感じないというか、一聴してピンと来るかどうか、それですべてわかってもらえる類の音楽だと思うのでとにかく絶対聴いてみて!