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Russell Haswell 『As Sure As Night Follows Day』

 

たまには更新しなきゃなってことで最近ヘビロテしまくってる逸品について走り書き。

 

As Sure As Night Follows Day

As Sure As Night Follows Day

 

 

boomkat.com

 

今年になって『Live Salvage 1997→2000』を初めて聴いてその魅力に憑りつかれ、5月のUnitでのライブにも行ってぶっ飛ばされたりと自分の中での今年の音楽のメイントピックのひとつには確実になるだろうRussell Haswellが、えぇ絶好のタイミングでPowellのDiagonalからリリースですよ。

あらかじめ公開されてた音源を視聴した段階でこれは期待できそうだなってのはハッキリ感じてたんですが、いざ手元に届いて(といっても買ったのはデジタルなんですが…)みてもこれが全く期待裏切らない出来でして。

 

音の内容としては同じくDiagonalからの『37 Minutes Work Out』に連なるもので、おそらくモジュラーシンセで出してると思われるノイズや歪んだシーケンスが、これまた極端に歪んでいたりあるいはチープだったりする質感のビートに乗るっていう構造的にはシンプルなものがメインなんですが、ボトムに対して無関係に思える周期でノイズ鳴らしてみたり(3曲目)とどっかしらに破綻が仕込まれてる感じです。

あと今作ではそういったノイズとビートが同居せず、ノイズのみやビートのみで成立しているようなトラックも多く収録されてまして、4曲目辺りのノイズのみのトラックは暴力性もさることながら(シンセのツマミいじってるだけなのかもしれませんが)音が急にグニョンと曲がるところがやけにドラッギーだったり、ビートのみのトラックは手打ちっぽいギクシャクしたリズムがフィジカル回帰的な最近の電子音楽の潮流を感じさせる一方そのパロディ的にすら聴こえるあまりのスカスカさ加減がそういった読み取りを嘲っているようにも感じられたり、まぁとにかく結構思い切ったことをいろいろやってくれてます。

ノイズのみだったりビートのみだったりするトラックは割合時間が短かったり展開なかったりなのでちょっとスキット的に聴こえたりする面もあって、ゆえにやっぱビートとノイズが絡む曲がメインなのかなって気がしますし、そういったアルバム通しての起伏もあってビートとノイズ絡む曲では尚更ブチあがるなコレって。特にビートに(サンプリング素材を加工したものかシンセで生成したものかわかりませんが)インダストリアルな“ガコンッ”みたいな音絡んでくるのとかたまらんですね。

あと今作はウェブ上で見つかる紹介文なんか見ると “テクノ、デスメタル、そして「エクストリーム・コンピューター・ミュージック」の要素を取り入れて” いて、また “Jeff MillsやHardwax(Robert HoodがM-Plantの前に運営していたレーベル)に影響を受けたというフロア・フレンドリーなトラックも数曲含まれている” ってなことらしいんですが、

そういうの読まず自分が聴いた第一印象は“インダストリアル系の人がヒップホップ作った、というかぶっ壊したみたいだな”って感じでして、ビートの手打ちっぽい感じのグルーブだったり(ただ今作のビートはヒップホップ的なもたり感や沈み込む感じではなくてつんのめるような感じですが)、チープな音が入ってくる時にはその質感に瞬間的にCompany Flowを想起させられたり、また5曲目のノイズトラック『Rave Splurge nO!se FM』のドラッギーさにはKanye WestYeezus』の一曲目「On Sight」に近いニュアンスを感じたりしたんですよね。『Yeezus』は二曲目の「Black Skinhead」でマリリン・マンソンをサンプリングしたりもしてて、オリジナル・インダストリアルを消化したいわゆるインダストリアル・ロックにインスパイアされて作ったところもあったでしょうし、『Yeezus』がヒップホップ側からのインダストリアルへの接近とすれば『As Sure As Night Follows Day』はその逆か?なんてのは夢想しすぎですね(笑) なんといってもハズウェル本人が影響源としてヒップホップの一語を発していないのですから!

まぁヒップホップ含めた広義のクラブミュージックという括りであれば、インダストリアル/ノイズ側からのそちらへの接近は数年前から特に盛んになってるところなのでその動きの最前線ってところが妥当でしょうかね。適当に走り書きしてライトに更新するつもりが随分長くなってしまいました…。

とにかくドラッギーなノイズとインダストリアルなサンプル(?)とビートが絡む曲とかは本当に皆が凶悪な笑み浮かべながら踊り狂えるような危ない魅力が充満してるんでこんな駄文は読み飛ばしてさっさと聴けって話です。Apple Musicでも聴けますしね。

 

あとジャケがかっこいい!ジャケがかっこいい!

 

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