フランスのサックス奏者ステファン・リブスのソプラノサックスソロ。
2003年作。リリースはPotlatch。
全編が、金切声のような高音の持続と、アンプリファイされた濁った管体の鳴りで構成された、あらゆる情緒やイディオムを内在させない即興演奏。
それぞれの曲毎に、ひたすら一つの響きを拡大する研究の様をみせられているような…。
「Granulations」と題された3つの曲は、泡立つようなノイズが多用されていて、近年のAnother Timbre辺りの物音系の即興演奏に通ずる感も(と思ったらこの人Another Timbreからリリースあるみたいですね。)
ステファン・リブスは1969年生まれで、サックス奏法の音響的な側面のイノヴェーターであるジョン・ブッチャー(1954年生まれ)の一世代下の奏者ですが、この作品のある種「閉じた」ような内に内に向かう徹底した姿勢からは、世代差以上の断絶を感じます(まぁ影響はすごく受けてるでしょうが。。。)
サックスソロという形態をとっていますが、フリージャズ~即興演奏というより、ノイズや電子音楽の方に距離的に近い印象。
私自身はノイズに疎いので、ここからその方面に接続できればと目論んでいたり。
あまり褒めているように見えない文章になってしまいましたが、好きですよ、これ。