今月よく聴いたものです。画像クリックで試聴ページへ飛びます。
・Claire M Singer『Solas』
ポスト・クラシカル(?)。ロンドンのユニオン・チャペルを拠点に活動している作曲家のデビュー作。ハーモニーや定型的な音程の推移もあるのできちんと作曲された曲って感じもするけど、それらは必要最小限に抑えられていて全編持続音を中心に描かれてる。曲によってはほぼドローンっていってしまえるようなものも。でもそういうドローン的な音楽(=和音の変化などいわゆる音楽の“進行”感を発生させる要素がほぼない)にも関わらず、音楽としての推進力がすごくて、停滞感みたいなものをあまり感じさせない。それがなぜなのかは今のところよくわからないんだけど、ダイナミクスとそれに伴う音色の印象の微妙な変化とかがポイントなのかなあ。音色の重ね方とかも同系統の音を重ねていく感じでどちらかというと停滞感が増しそうなものだけど…。
・Acronym『Entagled In Vines』
ディープなテクノ。トーンは暗めかなと思うけど結構わかりやすく踊れる感じも。パンチのあるシーケンスが一本走ってる曲が多くて、そういう曲を印象づける核みたいなものの位置付けがうまいなって印象。ミックスとかに入っててもすぐこの人の曲ってわかりそうだし、映えそう。
・Ben Gwilliam『Vestibül』
実験音楽、機械録音。複数のテープマシンから発せられた音。
・Stephen Cornford & Ben Gwilliam『On Taking Things Apart』
実験音楽、機械録音。前掲の作品とアプローチは同じといってよさそうだけどこちらはより出音に対する人の干渉が聴きとれる。
・Marc Baron『Un salon au fond d' un lac』
カセットテープの音源を用いたコラージュ/コンクレート。派手な展開があったりして面白い。最後の曲のくすんだピアノの音はわかってても染みる。ズルい。小さい音でなんとなく流しておくのが好きだったりする。心地よすぎない。
・Pan Sonic『Atomin Paluu』
ノイズ・テクノな曲はもちろんだけどアンビエントな時間も多くてかなり好き。
・Elina Duni Quartet『Matanë Malit』
アルバニアやコソボなどのトラッド曲を演奏したアルバム。3曲目「Kur Të Kujtosh」に完全にやられてしまってその2日後にはライブに行きその会場で買った。「Ka një mot」の後半とか、ふとしたところでのさりげない和音ひとつとかで異様に深みのある響きを聴かせてくれるColin Vallonのピアノをはじめとするバックの演奏もいいし、抑揚はあるけど根底に静けさを感じさせてくれるようなElina Duniの歌声も素晴らしい。
・G.H.『Housebound Demigod』
インダストリアル/テクノ。音の歪みの具合とか低音出てる感じとかすごくかっこいい。Modern Loveからってところでまあ『Passed Me By / We Stay Together』の頃のAndy Stottを連想してしまったりも。ライブで聴いたら凄そうだなー。
・Gary Thomas『Seventh Quadrant』
すげースリリングなジャズ。わかりやすくテクニカルでめっちゃ演奏上手い(小並感)。しかしなんで今このタイミングでこれを聴くんだって感じだ(笑) 形式としてのジャズらしさをガッチリ保っていながらこれだけガッとくる作品に出会ったのちょっと久しぶりな気もする。
・Ken Ikeda『Primal Scene』
サウンドアート/アンビエント。物音というか環境音というか、一般的な楽器以外のものから発せられた音が多く用いられているんだけど、それらを過度に加工したり例えばリズム組むようなかたちで音楽的な形式に当てはめることはせずに、異物感というか物音としての手触りみたいなものを残しながら、しかし音楽的に響かせることでその他のアンビエントな音使いの中に絶妙な距離感で存在させてる。凄い。
・The Claudia Quintet『Super Petite』
コンテンポラリージャズ。なんか妙にクセになるコンポジション。
・Qeel『Internal Reality』
ディープなテクノ。よく知らない人だけど多分これがデビュー作っぽい。冷たくそっけないんだけどなぜかスッと身体に浸透してくるような音。ノイジーさや重々しいゴシックな雰囲気もあるけど押しつけがましくない塩梅でいい。これ出してるAnnulledってレーベルすごく好きだな。これからも期待できそう。
・Desolate Horizons『I Thought I'd Never Find You』
アンビエント/シューゲイザー。去年のアルバムもかなり良かったけど、今作は収録曲数減らして1曲でじっくり聴かせてくれる感じ。トータルタイム的にもいい感じの短さでよく聴いた。ジャケもいいね。ちなみにNYP。
・Socrates Martinis『Under the arches of her voice』
ミュージック・コンクレート。よく知らないけどギリシャの作家かな。質感や空間の違う持続音の切り貼りが中心で、それほど細かいことはやってなさそうだけどなんか聴かせる力がある。特に音の広がりや距離感(まあ≒空間ってことですね)の違う音が同時に鳴ってるときが面白い。
・The Necks『Box』
よく聴いたっていってもまだそれぞれ2周づつくらいしか聴けてないけど…とりあえず入れておこう……。