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LL

今月のお気に入り(2016年7月)

・Francisco Meirino『surrender, render, end』

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・Valerio Tricoli『Vixit』

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・Michael Foster _ Ben Bennett『" "』

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・Meshuggah『Nothing』

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・Dan Weiss『Fourteen』

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・Lucas Bolaño『Impermanencia』

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・Giovanni Di Domenico, Arve Henriksen, 山本達久『Clinemen』

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・Manuel Mota, Giovanni Di Domenico, 山本達久『SoundShots #1』f:id:yorosz:20160731060942j:image

 

 

・Ranta Lewis Plank『Mu』

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・Ntogn『Threads』

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・Carers『...it's eternity, Ester"/ Easter』

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・John Stevens / Evan Parker / Kenny Wheel / Dennis Bailey / Dave Holland『Karyobin』

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・Haiku String Trio『beat keller. tom johnson. joseph kudirka string trios』

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・Robert Piotrowicz『Stara Szkoła Ze Złota / Old School Made Of Gold』

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・MMOTHS『Luneworks』

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・Esbjörn Svensson Trio『Seven Days Of Falling』

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・挾間美帆『Time River』

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・Jesse Osborne-Lanthier & Grischa Lichtenberger『CSLM』

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・Clams Casino『32 Levels』

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・deafheaven『New Bermuda』

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きのこ帝国「Girl meets NUMBER GIRL」

youtu.be

サビだけ取り出せばなんかポカリスエットのCMにでも使われてそうな爽やかなロックって感じになると思うけど、歌い出しから「青が刺さる」までの声のトーンの異様な冷たさ?鋭さ?震え?無表情さ?がまず耳に飛び込んできてからだと全然そう聴こえない。曲調自体は曲中で何度も歌われる「青い空」を連想するような“開放”的で明るいもので、コードもCmaj9とGの繰り返しを基本に間にAm7挟むくらいだし、アレンジや演奏、音作りに関しても特別なものはないように思うけど、そこにこの声が乗るだけで夏の日差しの中を汗流しながら歩いてる時に聴いても寒気で鳥肌たってしまうような(←ていうか昨日実際こうなったから書いてるんだけど)、イヤホンで聴いてても肌で音聴いてるような、なかなか聴いたことのない色合いや感触の音楽になってる。なんか最近出た『できれば愛を』に関しての坂本慎太郎のインタビューにおける「声にすべての情報が詰まってる」って発言を実感できるような曲というか。あと歌い出しになってる「閉ざす」から「青が刺さる」の部分は曲の最後にもう一度歌われるんだけど、最後のほうは最初のほうに比べて声の震えが少しだけ増しているように(≒表情が少しだけ面に出てきているように)聴こえるのもいい。

 

 

あときのこ帝国とは何の関係もないけどこのポカリのCM好き。

youtu.be

 

 

2016/07/28

youtu.be

泣いてしまった。ライブ観たいな。今のレディヘの。

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年上半期ベスト(次点)

先日アップした上半期ベスト10枚に収まりきらなかった作品を20枚ほど次点としてまとめておきます。 順位は付けてませんが一応上にあるものほど印象強かったって感じです。6月終わるまでにある程度聴き込んだ作品の中から選んでます。

 

 

・Seiho『Collapse』

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これは10枚のほうに入れようか最後の最後まで迷った。ミュージック・コンクレートというかコラージュっぽい曲あったりでそこかしこにエクスペリメンタル的な意匠は仕込まれてそうなんだけど、それらがむしろ印象としてはポップさを増大させる装置として機能してんじゃないかってくらいやたらめったらポップに聴こえる。根明の中の根明の中の根明の音楽?夜のドライブ中に聴くのめっちゃ好き。最高。

 

 

・秋山徹次 / 大城真 / すずえり / ロジャー・ターナー『Live at Ftarri』

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車窓から見たただ通り過ぎていく風景のようだったり、その中でなぜか目に留まり琴線に触れてくる錆びれた建物のようだったり。

 

 

・Ntogn『Sathurnus』

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ディープすぎて音の反復にすべての意識持っていかれる感じが怖くなってくるくらいディープなテクノ。マジで頭オカしくなるくらい最高。しかもNYPですよ…!

 

 

・Basic Rhythm『Raw Trax』

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テクノっていうとどうしても四つ打ち系のミニマルテクノをイメージしちゃう人間なんでよくわからないんですけど、こういうビートの組み方ってテクノなんですかね?まあよく聴きました。

 

 

・Angharad Davies, Rhodri Davies, Michael Duch, Lina Lapelyte, John Lely, John Tilbury『Goldsmiths』

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Sarah Hughesの曲は最初のほう美しいなーと思って聴いてたらいつの間にか怖い感じに。3曲目の全員での即興は特に終盤でのジョン・ティルバリーの存在が光ってる。Jurg Freyの曲は彼にしか描けない景色を見せてくれる感じでとてもいい。

 

 

・Astral Colonels『Good Times In The End Times』

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Valerio Tricoli今年大活躍ですね。これはAnthony Paterasのプリペアドピアノの音色がソークールでしてそこに音響操作が絡まりコンクレート化=最高なのであります。

 

 

相対性理論『天声ジングル』

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最初と最後の曲がインパクト強いのはたしかなんだけど、聴くほどにどの曲も名曲なんじゃないかって思えてきた。っていうか名曲(断言)。ボーカルのフック、ギターのキラーフレーズ、そこかしこに仕込まれ過ぎ。めっちゃ傑作。

 

 

・Klara Lewis『Too』

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前作も良かったけど今作も期待を裏切らない出来だった。この人は音楽への環境音の取り込み方が上手い。

 

 

・Phronesis『Parallax』

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アノトリオなんだけどほんとそうとは思えないくらい情報量多すぎ。1曲目のテーマ部(2分10秒辺りまで)だけでどんだけ展開すんだよっていう。アルバム通して凄い熱演だと思うけど最初の3曲の出来が素晴らしすぎて後半の曲がちょっと霞むくらい。ドラムのこいつバカなんじゃねえかってくらいの節操のない叩きっぷりが最高。あとこれ録音の雰囲気がすごくよくて、音量思いっきり上げて聴くと演奏が盛り上がってベースとドラムが弾きまくり叩きまくりみたいになるところで音がダマになって迫ってくる感じがすげーライブ感。展開とかが凝ってるからついついそれに付いていこうとして頭で聴いてるような感じになりがちだけど、音量上げてるとあまりそういうこと考えずに聴けるというかただ音に飲み込まれるような感覚で聴ける。狭い会場でライブ観てみたいなあ。

 

 

・Thumbscrew: Michael Formanek, Tomas Fujiwara, Mary Halvorson『Convallaria』

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ギタートリオ編成でのメアリー・ハルヴァーソンはほんといいっすよ。

 

 

・Yann Novak『We Love Our Parents, We Fear Snakes』

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Yann Novakはやっぱ最高だって再認識させられた一作。この人の音は自分に必要。NYPでいいのか……。

 

 

・Second Woman『Second Woman』

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リズムは軟体動物みたいにグニョグニョ変化するけど音は硬めで結構ビシバシくる感じがかっこいいエレクトロニック・ミュージック。マークフェル?SND?オウテカ?どれもよく知らんしもうどうでもよ~

 

 

Linus + Økland/Van Heertum『Felt Like Old Folk』

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ロングトーンを主体とした即興演奏。テナー・サックス、アルト・クラリネットを演奏するThomas Jillingsと、アコースティック・ギターバンジョーを演奏するRuben MachtelinckxのユニットLinusに、フィドル奏者のNils Øklandとユーフォニウム奏者のNiels Van Heertumが加わった編成。ユーフォニウムなど普段あまり聴く機会のない楽器も入った柔らかい持続音の重なりがまず素晴らしく心地いいんだけど、そこに即興的にメロディアスなフレーズを絡めたりしててタイトル通りのフォークっぽさがある。なんか枯れた草原とかを連想してしまう音。ドローンっぽい即興演奏からの次なる展開として新鮮だしうまくやってると思う。

 

 

・Milena Kriegs『Human Experience』

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ミニマルテクノ。深夜の森に入っていくようなやけにディープな雰囲気があって繰り返し聴いた。

 

 

大西順子『Tea Times』

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現代的なリズムアプローチを取り入れたピアノトリオの演奏も管楽器が入った曲もかっこいいけどやっぱ「Malcom Vibraphone X」につきるかな。N/K & OMSB キマりすぎ。

 

 

・Simon Scott『Floodlines』

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濁った音の混ざり具合が素晴らしいドローン作品でした。

 

 

・Sergio Krakowski『Pássaros : The Foundation Of The Island』

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感想はこちら

 

 

菊地成孔『MOBILE SUIT GUNDAM THUNDERBOLT ORIGINAL SOUNDTRACK』

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自分はサントラって基本どう楽しんで聴けばいいのかわからない人間で、愛聴盤といえるものもごくわずかなんだけど、これは(ライブに行く予定があったこともあって)本当によく聴いた。ジャズ作品として聴くとちょっと文句言いたいところがないわけではないけど、サントラ作品として捉えるとかなり自分の中で大きな存在の一枚になると思う。ライブも楽しかった。

 

 

Esperanza Spalding『Emily’s D+Evolution』

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1曲目のインパクトがとにかく強くて今でもそれが一番好きなことに変わりはないんだけど、他の曲もなかなか飽きない深みのある感じで折に触れて聴き返してた。音楽性は全然違うけどなんか雰囲気(プログレっぽさ?)がSeiho『Collapse』と近いところあるような気もしないでもない。

 

 

・Radu Malfatti / Kevin Drumm / Lucio Capece『The Volume Surrounding The Task』

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とても静かな即興演奏。集中して聴きましょう。

 

 

・Tony Malaby Paloma Recio『Incantation Suite』

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最後のトニー・マラビー大爆発が聴けるだけで全部OK。ナシート・ウェイツのドラムもいい。

 

 

2016年上半期ベスト

上半期ベストです。今年はストリーミングを使う頻度が増えたことと、極力デジタルで音源買うようにしたこともあって新譜は去年以上に多くの数を聴いてて良い作品もたくさんあったので20か30作品くらいにしようかと考えたのですが、あれもこれもと次から次に良い作品が思い浮かんでしまい収拾がつかなくなりそうだったので思い切って10枚に絞りました。なのでここに挙げてるものは本当に厳選したBest Of Bestって感じです。順位は付けてません。次点の10~20枚くらいはそのうち簡単にまとめて追記するかも。ではどうぞ。

 

 

・Andy Stott『Too Many Voices』

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先行で公開されてた「Butterflies」を筆頭に作風がR&B的(?)にシフトしてるところあるので賛否は分かれるだろうなーとは思っていたし、自分もそこになんかチャラくなってんじゃねーか的な不安がないわけではなかったんだけど、聴いてみたらなんの心配をしてたんだってくらいめちゃくちゃいいでやんの。たしかにこれまでより抽象的な魅力はなくなってるし(全曲どんな曲だったかすぐに思い出せる…!)、歌だけでなくシンセでしっかりメロディー弾いてる曲まであるくらいなんで作風の変化は明らかなんだけど、サンプルとしての声の使い方における不穏なテイストは今作でも十分に発揮されてますし、音響面のこだわりようは聴けば聴くほど伝わってくるんでこれまで彼の音楽に感じていた旨みの部分は自分としては今作でもバッチリ堪能できるんで全く問題なし。ほんと歪んだパッド的な音色やドラムの音ひとつひとつの太さとかすごく贅沢な響きに感じるし、詳しくないけどアナログ機材とかすげーいろいろ使い分けてそう。あと3曲目のベースのウニョウニョ左右に動く感じとか、5曲目での早送り巻き戻しが入るような加工のせいでせっかくのラグジュアリーな雰囲気が変形された形でしか受け取れない感じとか、随所で何気に変なことやってるのもいい。それと7曲目のシンセのメロディーが具体的に曲名が思い浮かぶわけではないんだけどなぜかYMO(というか坂本龍一?)っぽく聴こえるんだけど、何か似た曲でもありましたっけ?

 

 

・Dan Weiss『Sixteen: Drummers Suite』

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NYコンテンポラリージャズシーンの人気ドラマーが手掛けたタイトル通り16人の奏者によるラージアンサンブル作品。結構年の初めのほうに出たこともあって多分この10枚の中でも一番聴いたと思う。一応これ明確なコンセプトがある作品なんですが、説明が面倒なのでそれはどこかで調べて読んでもらうこととして(レーベルのページとかに書いてあります。英語ですが…)、これアルバムの中にいろんな音楽の要素がブチ込まれ過ぎててなかなか簡潔に紹介するのが難しい…。

まずドラマーのリーダー作ってことでリズムは凝っていそうなんだけど、案外そうでもない気もする。変拍子っぽく聴こえるところは多いし、途中でリズムが切り替わったりも多いんだけど、フレーズが変で周期が掴みずらいだけで意外と拍子はイジッってないなんてこともありそうな…。ポリリズムもわかりやすくそれと認識できるところはあまりなかったような…。Mベース的に周期の違うフレーズを重ねてるところは少しはあるんだけど、それっぽいと思った箇所でもフレーズがズレていかない(=周期は同じかまたは割り切れる?) ように聴こえるところもあるし…。まあこの辺は全然詳しくないのでかなりテキトーですが。

で、そういうリズムの部分の情報がうまく拾えなくても楽しめてしまうのがこの作品の懐の深いところで、音色の面ではハープやフルートなどの柔らかいものから歪んだようなエグいキーボードのそれまで多彩だし、和声的にも混み合ったような響きが多く用いられていて、そのうえ曲調が1曲の中でコラージュかよと思うほどガラっと変わったりするのでやたら情報量が多いしほんとこの人の頭の中というか音楽的語彙どうなってんだよって感じなので、リズム以外でもこういった音楽を構成する他の要素のどれかひとつにでも引っかかりがあれば面白がれる。と思う。多分。

好きなのは2曲目と3曲目と4曲目。アルバム全体通してリズム面の方法論は前作『Fourteen』と大きな違いはないように聴こえるんだけど、2曲目では今作で加わったフルートの存在による音の色彩感の広がりのおかげか格段にポップに聴こえるし、3曲目はなんか周期が掴めそうで掴めないリズムの上でキーボードがエグい音色で暴れまわるところが最高にかっこいいし(こういう風にわかりやすくひとつの楽器が突出するところも前作ではあまりなかったと思う)、4曲目は2分過ぎた辺りからかなりフリージャズっぽく展開するんだけど、そこでバックコーラス的に「ア~」っていってる声がなんか全く関係ない現代音楽の声楽曲が紛れ込んで勝手に流れてるみたいなコラージュ的な居心地の悪さで頭がオカシイ。他の曲でも声は随所に登場するんだけど、主体となっている楽器類の演奏に対して、和声的な意味で、またはもっと大雑把に役割的な意味でもどういう関係性で鳴っているのか掴めない場合が多くて、音楽の中に溶け込んでるのか浮いてるのかそもそも判別できないような変な存在であり続けてる。

あとやたら情報量多いって書いたけどラストの15分超えの曲以外は意外と短く纏められてるので、慣れてくれば結構リピートして聴ける。最初は混乱するかもしれないけど(笑)

ものすごくとっ散らかった文章になってますが、果たしてこれは音楽に対して自分の理解が追い付いてないからなのか、それともこの音楽が本質的にそういうものなのか…。

 

 

・Flin Van Hemmen『Drums Of Days』

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 オランダ出身で現在はNYで活動しているドラム奏者/音楽家のFlin Van Hemmenの初リーダー作。今作でFlin Van Hemmenはドラムだけでなく曲によってはピアノも演奏していて、ピアノを演奏している曲では特に作曲に比重を置いているように聴こえます。作曲といってもピアノとギターが多少不穏ながらもそれほど複雑ではないいくつかの和音を出し、そこにベースがゆったりとした弓引きで加わるといったパターンをはじめとした簡素なものなんですが、それがなぜか驚くほど謎に満ちた雰囲気を醸し出していて、間違って森に迷い込んで辿り着いてしまった小屋から聴こえてきそうな音楽というか、触れていいものなのかわからないけど手を伸ばしたくなるような変な魅力になってます。最も長尺の4曲目(16分もある)なんかは冒頭に“ヨーロッパの小さな村のお祭りで街頭のスピーカーから流れてる音楽”みたいなフィールドレコーディング音が使われていたり、途中でポエトリーリーディングが入ったりでますます謎。やたら謎、謎って言ってしまってますけどそれは高度に計算された何かが裏に潜んでいてそれを解けるか解けないかみたいな類のものではなくて、感覚的に音を重ねていったら自然と雰囲気としてそういうものを持った音楽ができたって感じな気がします。なので明るいトーンの音楽ではないんですけど、いかにも人を選ぶような堅苦しい空気はなくて、不思議な親しみやすさを感じますし、その要因(?)として、本当にただの直感なんですけど、この人自然や環境音から得た感覚を音楽に落とし込んでるんじゃないかなとか思います。フィールドレコーディングと思われる音が使われた曲があったり、他にも「Field, Sound」っていうタイトルの曲があるからそう感じるだけなのかもしれないですけど、それ以外の曲でも風の音や葉の擦れる音、人や動物のたてる音、生活の中で不意に訪れる静けさとか、そういうものを連想してしまう瞬間が多くありますし。

 

 

・Julian Shore『Which Way Now?』

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バークリー音大出身のピアニスト、コンポーザーの作品。ラージアンサンブル作品と紹介されていたりもしますし、冒頭は弦楽+ピアノによる映画音楽のような曲だったりするのですが、アルバムの核となるような曲は基本的にサックスにダイナ・スティーヴンス、ギターにギラド・ヘクセルマンというNYコンテンポラリーの人気奏者を迎えたピアノトリオ+サックス+ギターのクインテット編成で演奏されています。他にも歌ものがあったり、アルバム後半では1曲ごとに編成が変わったりと多様さのある作品なんですが、個人的には先に紹介したクインテットでの演奏により魅力を感じました。特にドラムのColin Stranahanのシンバル類やそれ以外の金物も用いて歌うような演奏が猛烈に素晴らしく、全編柔らかい雰囲気で統一された作曲や録音の雰囲気の中に絶妙なドライヴ感を加味してて、やすらぐ様な心地よさが溢れつつも凄く推進力があるっていう音楽ができあがってます。フォーキーなギターのストロークが印象的な3曲目とか特になんですが、良い映画観た時のエンドロールずっと見たまま席立ちたくない、しばらくその空間を離れたくないみたいな感覚を思わせる作品。youtubeで演奏動画とか見るとわかるんですけど、この雰囲気はやっぱ甘ったるいリバーブかかったようなダイナミクスに乏しい録音の雰囲気だったりミックスの存在がとても大きくて、生々しいジャズ作品として聴いてしまうとなかなか受け入れられない人も多そうですが、統一感のあるスタジオ録音作品として個人的にはすごく効果的に働いてると思いますし、そういう作品として素晴らしい出来だと感じます。

 

 

・Kassel Jaeger / Stephan Mathieu / Akira Rabelais『Zauberberg』

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 Kassel JaegerもStephan Mathieuも大好きなんで期待はしてたんですけど、思った以上に良かった。何が素晴らしいって“雰囲気”としか言いようがないんだけど、そう表現することしかできない故にこれ最高のアンビエントなんじゃないかと。歌曲、管弦楽ピアノ曲などのクラシック音楽のサンプリングと、環境音、ドローンなどがゆったりとした時間感覚で代わる代わる表れるっていうそれだけなんだけど、くすんだ音の質感のおかげかどのパートも優しく染みるし、うっとりするほど美しい。

 

 

・Kerridge『Fatal Light Attraction』

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インダストリアル・テクノ。今作で初めて知ったんですけどアルバムリリースはこれで三枚目みたいです。インダストリアル・テクノって書きましたけど、最初の三曲はドラムが無機質にダダダダダダダダいってるところにジーとかビーとかガーというノイズが重なって、そこに彼自身の声が結構な頻度で挿入される作風で、ドラムマシンとエレクトロニクスを使ったニューウェーヴみたいな雰囲気というかEBMっぽさみたいなのあります。4~7曲目は声の使用は控えてるのもあってかド直球インダストリアル・テクノな感じ。全編やたらブレイクが多いうえに1~3曲目とかバカみたいにダダダダダダダダいってるので正直途中で飽きてくるんですけど、4曲目のビートに乗る重機っぽいノイズとか鬼のようなかっこよさで(超うるせぇ)、ここ聴けただけで全部OKってなっちゃうし、続く5曲目もなんかロマンチックな雰囲気あってすごく好き。

 

 

・Molecule Plane『Acousticophilia』

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 京都在住の音楽家Yuki Ohtsukaによる「音色と音響の可能性の追求に特化した」プロジェクトによる初アルバム。これに関してはツイッターのほうで(こんな感じとかこんな感じで)書きたいことだいたい書いてしまってるんですが、まあそれふまえて言えることはこれは自分にとっては凄くシンプルに快楽性の塊のような音楽だってこと。様々な性格の音、ノイズの持続と重なりの素晴らしさ。ツイッターに書いてないところだとアルバム中で唯一明確に和声感の感じとれる2曲目なんかはシューゲイザーでもドゥームメタルでもなんでもいいですけど轟音の要素のあるロックが好きな方には一聴してみてほしいし(この曲に関してはAlva NotoXerrox Vol.2』的なロマンチックさも感じたのでそちらが好きな方々も是非)、その先の光景を見せてくれるというか、その世界観が情報量の膨張に耐え切れずにエラー(=グリッチ)起こしかけてるみたいな7曲目にも根源的にそういった息遣いが聴きとれる気がします。

 

 

・Pita『Get In』

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MEGO主宰の新作。寡作なイメージありましたがPita名義でのソロ作品ということだとDiscogsによれば2010年のカセット作品以来のアルバムリリースのようです。昨年の来日ライブでも大々的に用いていたモジュラーシンセを多く用いた作品っぽくて結構ラフな一発録りっぽい曲もあったり。トータルで40分くらいなので結構サラっと聴き通せるんですけど、このアルバム、聴き終わった後の充実感というか、いい音聴いたなっていう満足感みたいなものが尋常じゃなくて、それが何でなのか理由はよくわからないんですけど(リアルタイムで聴くPitaの新作っていう色眼鏡がないとは言い切れません…)、それだけで十分というか何も言うことねえなって感じで。本当にこれ信じられないくらい音良くないっすか?奥行きというかなんというか。3,4曲目とか最高すぎでしょ。3曲目の2分半辺りでせり上がってくるように加わる音の深みとか…。4曲目の高音の美しさとか…。

 

 

・Red Trio & John Butcher『Summer Skyshift』

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ジョン・ブッチャーが参加している作品では結構久しぶりなんじゃないかってくらいにフリージャズ寄りな演奏。Red Trioはポルトガルの奏者によるピアノトリオで、彼らのデビュー作と、そして今作もポルトガルのClean Feedから。4曲入ってるんですが1~3曲目が繋がってるので実質2曲入りで、まあライブの1stセットと2ndセットみたいな感じ。音まき散らすようなドシャメシャなRed Trioの中に入っても全く埋もれないジョン・ブッチャーの音すげーくらいしか書くことないなあ。最後の20分くらいの演奏の後半でピアノが音ブワーって広げるような弾き方してるところは本当にクライマックスって感じでアコースティック楽器4つでこんな響き出ていいのかってくらいエグい響き出ててめちゃくちゃ興奮する。

 

 

・Wanda Group『Central Heating』

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Wanda Groupって名前は随分前から知ったのにちゃんと聴いたことはなかったんですが、それを後悔するくらいにはめちゃくちゃ良かったですこれ。基本的にはダイナミックな環境音コンクレートで、時折そこにトーンクラスター的な強迫感のある持続音が被さったりする作風。収録内容は20分超えの二曲からなっていて、1曲目はより環境音に、2曲目はよりドローンの存在にフォーカスしてます。ミュージック・コンクレートは環境音の加工・編集によって成り立つ音楽で、単純に重ねたり、切ったり繋げたりはもちろん、音の定位を操って表現される面というかその可能性にとても意識的な音楽分野だと思うのですが、Wanda Groupの音楽は定位の操作の部分に関してはかなり大雑把な印象で(残響音を逆チャンネルに飛ばしたりするくらいで音を恒常的に動かし続けるようなパートはなし)、故に(特に1曲目は)重ねる、切る、繋げるの手法を延々繰り返してて直線的な印象があるんですが、そのセンスが半端なく良くて全然飽きさせません。使われてる環境音のヴァリエーションがそれほど多彩なわけでもない(環境音というより生活音と表現したくなるような物音が中心)のにこれは本当に驚異的。あとそれ以上に凄いのが、その素晴らしい構成、展開がまるで即興でというか勢いでテキトーに作られてるかのように聴こえるところ。結構こういうのって一見誰にでも作れそうって思われてそうですし、正直自分でももしかしたらできるんじゃないかって思わなくもないんですけど、多分実際やろうとするとめちゃくちゃ時間かかるしもっと頭でっかちで神経質なものになってしまうと思うんですよね。こういういい意味で大雑把に聴こえる感じ、勢いで長尺を一息で聴かせる感じってなかなか真似できないだろうしやっぱセンスなんだろうな~。

あとこの半年はコンクレート的な音源に結構いいの多かった気がしますね。今回選んでるMolecule Plane『Acousticophilia』にもかなりミュージック・コンクレート寄りな曲がいくつか収録されてますし、Valerio Tricoli関連とか、ensoさんの『Mare Smythii』もなかなか他にない空気感の作品で素晴らしかったです。

 

 

 

Sergio Krakowski『Pássaros : The Foundation Of The Island』

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Sergio Krakowksi (pandeiro), Todd Neufeld (g), Vitor Goncalves (p)

 

David Binneyのアルバムなどにも参加しているパンデイロ奏者セルジオ・クラコウスキのおそらくデビュー作(?)となるアルバム。リリースはNY在住のピアニスト蓮見令麻が主宰するRuweh Recordsから。

収録時間は6曲トータルで40分と短めなのですが、曲間が切れ目なく演奏されることや、最初と最後の曲が同じモチーフを持ったアルバム全体のイントロ、アウトロ的な曲になっていることから通して聴くことを推奨しているのかなと思います。

演奏の内容としてはラテンジャズ的であったり、ショーロを題材としたような曲などメンバーの出自を生かした南米音楽のフレイバーが強いものから、隙間の多い寡黙で即興の色合いの強いパートまで幅があるのですが、構成がいいからなのかそのギャップを感じさせず、全体通して潮の満ち引きや日の昇降など風景の移り変わりを連想させるような自然な聴き心地があります。この点については特にピアノのヴィトー・ゴンザルベスのタッチの変化による音量、音色のコントロールが大きく貢献しているようにも思います。

ギターのトッド・ニューフェルドも曲調に合わせて幅のある演奏をしているのですが、この人は(なかなか形容する言葉が思い浮かびませんが)とにかく音色が個性的で、音色自体が似ているわけでは全くないのですがどこかLoren Connorsを連想するようなブルース性が音の底のほうに重く息づいていて、特に寡黙な旋律を紡ぐような演奏をする場面ではそれが強く感じられるような気がします。彼の音が放つそのブルース性(憂いと言い替えたほうがいいかもしれません)は、クラコウスキ、ゴンザルベスの音と演奏を通してこちらに感情を伝えるという意味では通ずる反面やはり種類が違うもののようにも感じられ、そのことによる三者の音の微妙な混ざらなさやアンバランスさがこの音楽を特別なものにしているように思います。(クラコウスキとゴンザルベスのデュオだったらもっと凡庸に聴こえていたでしょう…)

で、肝心のというかリーダーであるクラコウスキのパンデイロ演奏についてなのですが、なかなか普段聴く機会のない楽器ですし、私もこういった小編成でその音に焦点を合わせるようなかたちで耳にしたのは今作が初めてといっていいくらいで、この人の演奏がたとえば特別風変わりなものなのかどうかとか、一般的な(?)パンデイロの演奏と比較するかたちで個性を聴きとるようなことがほぼできないのですが、 本作を聴き込むことやyoutubeでの基本的な奏法解説などを見ることで少しずつ面白さを見いだせつつあります。特に動画でパンデイロ演奏における身体の“動き”の部分を見たのが大きかったですね。どんな楽器でもそうですが、演奏における身体の動きは専門的な知識のない人間にとっては出音の成り立ちやテクスチャーを聴きとるうえでなによりのヒントになりますし、特にパンデイロという楽器は演奏中の動きが単純におもしろくて、

革や淵を叩く右手の踊るような、というか “演奏すること自体が同時に踊ることとして成立してしまっている” ような動きは非常に目を引きますし、このアルバムを聴く際にもそれを頭に思い浮かべながら聴くだけでもの凄くこの演奏の核心の部分に近づけるような気がします。

2曲目の徐々に熱を帯びていくラテンジャズ的な演奏の中で、加速度的に音を密にしていくパンデイロの打音はそのままダンスの小刻みなステップを連想させますし、それを通じて体温の上昇や原始的な(涙の出るような)喜びを伝えてくれます。

音楽の身体表現としての側面を強く反映し、発展してきたであろうパンデイロという楽器の演奏において、こういった身体感覚の伝わりやそれによる感情の共有はその旨みの最たる部分であるように思いますし、それを損なうことなく伝えてくれるこの音楽もまた素晴らしいものであると思います。

 

パンデイロの革に右手の影が映ったジャケットも良いですね。この影が例えば人影のように見えたらスクリーン上で踊るダンサーみたいな比喩だったり、それがこの音楽の本質を表してるみたいなことも言えたのですが、残念ながら手にしか見えません(笑)

 

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