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『Phantasmagoria』 at 代官山UNIT

 

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5月22日に代官山UNITで行われたイベント『Phantasmagoria』に行ってきました。

めんどくさいので前置きは省きます。

多くの豪華出演陣の中でも特に感銘を受けた2つのアクトについて。

 

 

・Russell Haswell + Painjerk

MEGOの鬼っ子ことラッセル・ハズウェルと、五味浩平によるノイズユニット=ペインジャークによる共演ライブ。去年この組み合わせでMEGOからアルバムも出しているようですね。ハズウェルはモジュラーシンセを、Painjerkはラップトップや自作楽器(?)を演奏。冒頭、ハズウェルのモジュラーから平坦なドローンが垂れ流され、そこに細かに音が重ねられていったかと思うと、Painjerkによる金属的なノイズが空間を切り裂くように短く挿入される。ノイズ要素の多い中にも絶妙にシンセライクなシーケンスを紛れ込ませてみたり、Painjerkが終始多用した短い間隔でのソリッドなノイズの出し入れや左右へのパンニングによってそれぞれの音要素の差別化がしっかりと行われ、ひとつひとつの音がしっかりと聴き取れるギリギリの音量を保ちながら展開を作っていき、終盤にて初めて空間を塗りつぶすようなノイズの海へ到達するという、音自体の快楽性だけでなくそれらの組み合わせやトータルでのダイナミクスにもしっかりと気の配られた理想的ともいえるライブセット。その音色の配置や使い分け、シンプルでありながら巧みな構成には個人的な2014年のベスト作Thomas Ankersmit『Figueroa Terrace』を思い起こしたりもしましたが、時に強引なギアチェンジを思わせる力技や急速さまで手中に収めている辺りは、ライブならではのものかもしれませんがこちらの感覚を上書きしてくれるような強烈なインプレッションでした。両者の音の質感の違いも非常にプラスに作用していてPainjerkの発する激ソリッドなノイズが挿入されるたび、それまで流れを持って響いていた音の群れが瞬間的に圧縮、フリーズするようなショッキングな効果を生んでいて、シーケンスなどによって持続的に一定の運動性を確保することに秀でた(ハズウェルは今回そのような部分を押し出してはいませんでしたが)モジュラーシンセという楽器に対する、ラップトップによる耳の痛い異議申し立てのようにも聞こえて、その対比が単なる共演として以上の緊張感を演奏全体にもたらしているように感じました。Painjerkはライブどころか音源にも触れたことはなかったですし、ハズウェルにしても最近になって初めて音源『Live Salvage 1997→2000』を聴いたくらいで、演奏の前は『Live Salvage 1997→2000』はめちゃくちゃかっこよかったけどあれは15年以上前の音源だし今はどうかなーなんて思ってたんですが完全に要らぬ心配でしたね。終盤の飽和するようなノイズが耳を襲った時には感動のあまり自分泣くんじゃないかという状態でした(あの音で泣いたら完全にバカですけどねw)。こういう音色と、音の抜き差しや構成、両面で満足できるライブってのは本当に大好きですね。今のところぶっちぎりで今年のベスト・ライブアクトです。素晴らしいぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

・Mark Fell

知り合いとかにマーク・フェルのライブはスゲェよって証言をいくつかいただいていてハードル上がりまくってたんですが本当に凄かった。アルバム作品でおなじみのあの譜割りというか小節線にのみ高純度でグリッチを適用したようなリズムはライブでもより前のめりに炸裂していて良かったんですが、より印象に残ったのがその音の質感ですね。ソリッドな高音域はその日スモークが多めに焚かれたりもしていたフロアを瞬間的に整地、リアライズするようでしたしそこに正に杭のように打ち込まれるキックの存在感がなによりヤバい。一般的にダンスミュージックにおいて聴衆を踊らせる役割の大部分はベースラインとキックにかかっていると思いますが、彼の音楽にはベースどころか全パートにおいて“線”という概念がなく、常に一音一音が点で瞬間的にこちらの身体を揺らしにかかってきます。重なる高音にピントがあった状態の聴覚に、ぽっかり空いた低音部に瞬間的に深く打ち込まれるキックの低域は本当に直接的な振動であり、能動性の塊として目の前に存在していました。人間というのはこれ程の密度の音が瞬間的に眼前に響くとやはり何らかのアクションを取らざるを得ないんじゃにでしょうかね。そういった意味でこの日のフロアの光景はダンスというよりも痙攣に近いものだったのではないかと思います。めちゃくちゃ心地いい痙攣ですけどね。誰かさんではないですが音が脳髄にアディクトするってこういうことちゃうんかいとか思わせられる最高に具体的な手応えを感じれるライブでした。最高!!!!!!!

 

 

 

他にも単なる繋ぎ以上の気合の入ったプレイを聴かせてくれたNobuki NishiyamaやDJ Nobu、そしてNHKの4つ打ち押しからシンセや伸び縮みするようなノイズライクな音の蠢きに呑まれる、ダンスとそれが融けていくような瞬間の異様な心地よさなど、中身の詰まった最高の一夜でした。これはわざわざ遠方から来たかいがあった!