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Gavin Bryars 『Hommages』

 

Hommages

Hommages

 

 

ギャヴィン・ブライアーズというとBrian EnoのObscureからの『タイタニック号の沈没』で有名な英国の現代音楽の作曲家ですが、『タイタニック~』以外の作品はあまり顧みられることのない印象を受けます。

本作はそんな彼がObscureからの一連のリリースの後に初めて出したアルバム作品です。

内容はピアノとヴィブラフォンや鐘などの打楽器を主に用いたミニマルな室内楽作品集といった趣。

このアルバムの魅力は何といっても1曲目「My First Homage」で、彼のライフワークである『タイタニック号の沈没』のその後を思わせるというか、

タイタニック~』は沈みゆく船上で楽団員が演奏し続けた音楽のリアライズというコンセプトですが、

「My First Homage」は海上で瓦解した船の断片や貨物がゆっくりと海底へ落ちていく光景を思わせるような至上のピアノ・アンビエントになっています。

運動の終わりへ向けて着実に歩を進めるようなアルペジオと、そこに時折差し色のように即興的に挿入される感傷的なフレーズは、落下という至極シンプルな運動が持つ根源的な儚さを掬い取るような慈しみ深い視点から鳴らされているように感じます。

ピアノ・アンビエントは数あれどこれを聴き逃すことは厳禁だと自信もって言える1曲、なかなかないですよ。

 

 

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