今年の2月によく聴いたもので挙げている通り、買ったのは今年の初めになるんですが未だにたまに聴くんですよこの作品。
Jacob Kirkegaardは電子音楽の分野では有名どころといっていいTouchってレーベルからいくつも作品を出してる人だったのですが、これはPosh Isolationっていうデンマークのインディー・レーベルから。同地の現代美術館で開かれる初の個展に合わせて出版されたものだとか。
何よりカセット三本組っていう販売形態が目を引く一品ですが、収録曲の内容も思い切ったもので1、2本目はA面B面にそれぞれ30分近い1曲が収録され、3本目はA面B面併せて60分でひとつ曲ってことみたいです。音の内容は三本とも端から端まで“聴く”っていうより“流す”っていう用途しかあり得ないようなそれ。
“いい曲”とかそういう風に楽しむものではなくて、あまり“音楽”として意識して接するものでもないような気さえする、そしてそういったこちらの頭に浮かぶあれこれを肯定するでも否定するでもなくただただ透過していくような。
音楽に現実を塗りつぶすような、音でそれ以外のノイズをかき消すような没入感を求めている人には合わないかもしれないけど、例えば音楽なんて聴きたい気分じゃないけど何かしらの音を流していたいってタイプの心持ちを理解できる人には重宝するんじゃないかなっていう“アイテム”ですね、これは。